FOLLOW US

UPDATE|2022/10/12

「『ラムネの飲み方』を超える」SKE48太田彩夏、チームKIIに問われる真価…壁は高いほうが面白い

9月25日(日)に地元名古屋の日本ガイシホールにて開催された「SKE48 14th Anniversary Festival 2022」より(C)2022 Zest, Inc. / AEI


 すでにグループから卒業し、女優として活動している高柳は、この日、客席から後輩のコンサートを見守っていた。高柳は、後輩からの思わぬ宣言に一瞬、顔を覆った。2列後ろから観覧していた私には、高柳は泣いているように見えた。

 ステージでは、チーム最古参の江籠裕奈が話し始めていた。

「アイドルって楽しいことばっかりじゃなく、いろんな壁にぶち当たったり悩んだりすることもたくさんあるけど、こうやってファンの皆さん、メンバーのみんなの前で弱いところを見せれる、一緒になって成長できるのが今のSKE48のいいところだし、強味だと思うので。これからも一緒に頑張りましょ」

 メンバーに言い聞かせるようにして話し終えると、観客から拍手が届いた。

 最後の曲を歌うと、メンバーはステージから去ったものの、ドラマはまだ終わっていなかった。

太田「あの発言にはめちゃめちゃ勇気が要りました。手が震えました(笑)。でも、ちゅり(高柳)さんがまさかいるとは思わなくて。楽屋に戻ったらちゅりさんがいて、ビックリしました。気にしてないかなって心配だったけど、ちゅりさんからはアドバイスをたくさんいただきました。『周りが支えてくれるから、そんなに気負わないで』って」

 太田の宣言は瞬く間に拡散され、ネット上ではトレンド入りを果たした。

 そんなことをまだ知る由もない太田率いるKIIの全メンバーは、ガイシホールの一室に集められていた。

太田「運営の方から『明日から新公演のレッスンが始まります』と説明を受けました。その場でNight Tempoさんを紹介していただいて、表題曲を聴かさせていただきました。急展開すぎて、頭がついていかなかったです」

 気になることがある。ガイシホールでメンバーは「壁」だとか「乗り越える」だとか異口同音に発している。なぜ自分たちだけの曲や衣装がもらえることをそんなにネガティブにとらえるのか。太田は「不安6、楽しみ4」で新公演を迎えるという。「乗り越える」べき「壁」とは何なのだろう。

太田「KIIが乗り越えないといけないことはいくつかあります。まずは先輩と後輩の間にある距離感です」

 古畑が卒業したKIIは16人が所属しているが、5期生の江籠からドラフト2期生の水野愛理までが先輩組(7人)で、ドラフト3期生の中野愛理から10期生の3人までが後輩組(9人)と、太田はとらえている。所属人数が増えすぎると、いつものメンバーでまとまってしまう。後輩は後輩で行動する。となると、同じチームなのに見えない壁が生まれる。両軍はいがみ合っているわけではない。だが、チームとしてひとつのものを作り、ファンに届ける力がそれでは足りないのだ。

太田「新公演を迎えるというのに、メンバー全員が不安に思っているはずです。全体がまとまっていないことにみんな気がついています」

 KIIとは、太い絆で結ばれた体育会系のチーム。そんなイメージは“今は昔”。KIIはいつしか人間関係に悩むチームになっていた。同時期、チームSが団結を手に入れていたのとは実に対照的だった。
AUTHOR

犬飼 華


RECOMMENDED おすすめの記事