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UPDATE|2022/08/25

彼女がホストにハマった理由…月250万円で満たされる承認欲求、身体を売ってでも貢ぎ続けたい

『ホス狂い』  著:大泉りか 刊:鉄人社



「家を探して、決めるところまでいったんです。けど、引っ越しの一週間前に『被りの子と一緒に住むことになったから、一緒に住めない』って言われて。二番目にお金を使っていた子なんだけど、当然『は?』ってなるじゃないですか。すぐに相手のTwitterのアカウント見つけるために、Rのアカウントのフォロー欄を順番に見ていって、それらしい写真とか文章とかを探して。そんなことをしていたら、担当と被りの子が一緒に薬でオーバードーズ(OD)してから、わたしに電話を掛けてきた。被りの子に代わられて。それでツイキャスで話そうってことになったんです」

ツイキャスとはライブ配信のサービスだ。Twitterを始めとする各種SNSと連携が出来るため、フォロワーを中心とした視聴者に見てもらいやすいというメリットがあり「誰かと気軽に雑談したい」「自分の気持ちを話したい」というユーザーたちが多く利用している。また、配信の主催者に対して、視聴者が希望し、主催者がそれを許可すれば、コラボといって別々の場所から会話に参加することも出来る仕組みだ。

ようするに澪と被りは、ホストを巡る三角関係の決着を、SNSのオーディエンスの前で付けることになったのだ。昨今利用者が増え続けているSNS上では、「人生をコンテンツ化する」ことを推奨する向きもあるが、澪と被りとの配信は二千人近くの視聴者が訪れたという。

「内容としては、『担当を切ってくれない?』て言われて。その時、わたしには掛けが40万円あったんだけど『その40万、払うから』って。ODしているから、あまり話にならないし、ごたごたするのも面倒。掛けを払わないでいいならって思って了承してRを切った。」

いまは「ホス狂い」を卒業したという澪とは夕刻、新宿の街中で別れた。これから女友達と会う予定があるというので、どこかで食事でもするのかと尋ねたら、友達に付き合って歌舞伎町のホストクラブの初回に行くという。大丈夫なのだろうか。わたしの表情を素早く読んだのか、澪は最後にこう告げて去っていった。

「いまは担当を作る気はないんです。今は自分にお金を使いたいし、お金もないし」

▽『ホス狂い』 
著者:大泉りか
発行元:鉄人社
定価:1650円(税込)
Amazon:https://onl.bz/LadVJJE

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