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UPDATE|2022/08/17

『プロレス総選挙』女子1位 スターライト・キッドが語るヒール転向「選択は間違いじゃなかった」

スターライト・キッド (C)スターダム



「自分も最初はそう考えていたけど、いままでとは180度違うヒールを経験したことで、だんだん気持ちは変わっていった。あれっ、これはチャンスなんじゃないの、と。こういう形でユニットを移籍するなんて、本当に特別なことだし、こんなチャンスを手放すプロレスラーなんているのか?って。

だから岩谷麻優が私を取り戻しにきたとき、ベビーフェイスに戻るのを断った。ベビーフェイスのときは欲がなかったっていうか、岩谷麻優の存在が大きすぎて、変な話、岩谷を超えたらいけないんじゃないか、とすら思っていた。

それが大江戸隊に入ったタイミングで、リーダーの(刀羅)ナツコがケガで長期欠場となったとき『えっ、じゃあ、誰が大江戸隊を纏めるんだ?』と考えて『あれっ、自分しかないんじゃない?』と。それで意識がイッキに変わった。年齢的にも10代から20代になる時期だったし、いろんな考え方が変わったのかも」

一応、マスクウーマンは正体不明が建前ではあるが、彼女はみずから「年齢不詳の新成人」というキャッチフレーズを掲げて、20歳になったことを暗喩。晴れ着姿のグッズまで売り出される、という異例の事態に発展した。

「いままでは表現できなかった妖艶さをアピールできるようになったのもヒールに転向したからこそ。あのときの(ベビーフェイスに戻らない、という)選択は間違いじゃなかった、と実感している」

ヒール=悪役というと、女子プロレスの世界では先人たちがあまりにも偉大すぎて、いまだにダンプ松本やブル中野といった「昭和の悪役」のイメージが一般層には根強く残ってしまっているが、さすがにこの時代、凶器で相手を血だるまにする、みたいな所業はなかなかできない。令和のヒールは美しくてカッコよく、そして、ちょっとばかりズル賢い。あの手この手でタイトルマッチを決めて、気がついたら腰にベルトを巻いている。事実、スターライト・キッドも大江戸隊に移籍してから、すでに3本ものチャンピオンベルトを獲得しているのだ。

「大江戸隊の試合を見れば、いまの時代のヒールがわかる。(鹿島)沙希なんて美人で細いし、(渡辺)桃は実力派。(ペイントレスラーの)フキゲンです★は、もはや別次元の存在だし、琉悪夏や吏南はまだ10代だからね。欠場中の(刀羅)ナツコは昔ながらのヒール像を受け継いでいる部分があるけど『いまはこういうヒールもいるのか!』とわかってもらえると思うので、ぜひ会場に足を運んでほしい。週末には必ず日本のどこかで試合をやっているから、まずはその目で見てほしい。

まぁ、大江戸隊ではそれぞれのキャラクターや役割があるけど、私はダークヒーロー的な存在かな。ときには暴走もするけれど、頭の良さも見せつける、みたいな。本当に生で見ないとわからない部分もあるから、見に来てほしいな」(後編へ続く)

【後編はこちら】“SNSで素顔を晒す覆面レスラー”スターライト・キッド「私が女子プロレス、そして時代を変えたい」
AUTHOR

小島 和宏


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