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UPDATE|2022/08/17

『プロレス総選挙』女子1位 スターライト・キッドが語るヒール転向「選択は間違いじゃなかった」

スターライト・キッド (C)スターダム



よく子役でブレイクした役者が、そのイメージから脱却するのに苦労する、という話を聞くが、まさにそのパターン。ローティーンでデビューしてしまったから、いつまでもその年齢のまま、イメージが固定してしまう。マスクからは年齢は伝わってこないからだ。ある程度、年齢がいったときは大きな武器になるかもしれないが、少女から大人へと成長していく過程の素顔を見せることができなかったのは、かなりのマイナスとなってしまった。

「だから意識して肉体改造に取り組んだ。男子の場合、ヘビー級とジュニアヘビー級がハッキリと分かれているけど、女子は基本的に無差別級。だから、体の小さい私が当たり前のようにトップに立てる世界のはずなのに、団体の象徴である赤いベルト(ワールド・オブ・スターダム王座)や白いベルト(ワンダー・オブ・スターダム王座)には、男子でいうヘビー級の印象があるから、なかなか手が届かない。小さいから無理だ、と思われていたら腹が立つでしょ? だったら、自分で自分を変えよう、と。

高校を卒業してからですよね、肉体改造の効果が出てきたのは。ちょうど体質が変わるタイミングだったんだと思う。まぁ、食べる量もすごく増えたんだけど(笑)、筋トレを本格的にはじめて、デビューしたときよりも10キロ以上、増量している。『プロレス総選挙』でオカダ選手の横に並んだときに、ファンの方から『えっ、あんなに小さいかったの⁈』と驚かれて。それって、試合のときにはそんなに小さく見えないってことだから、嬉しかったな。体が大きくなれば、技にも説得力がでるし、やっぱり小さい選手がデカいヤツからベルトをとったほうがプロレスって面白いでしょ? 周りの見方を変えるためにも肉体改造は必要だった」

肉体的には変貌を遂げつつあったが、それだけでは壁を乗り越えることはできなかった。だが、思わぬ契機がやってくる。昨年6月、敗者がユニットを強制移籍させられる、という特殊ルールの試合で敗れたキッドは、スターダム唯一のヒール(悪役)ユニット『大江戸隊』に移籍。ファンは愕然とし、それまで所属していた正規軍(『STARS』)のメンバーは「必ずキッドを奪還する!」と燃えた。誰もがヒール転向は一時的なもので、すぐにベビーフェイスとして復活するものだと思っていた。

AUTHOR

小島 和宏


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