リングに上がればスポットライトも浴びれるし、ファンからの応援を受けられる。けれど、道場での練習はひたすら地味で、ただただ痛い。そこに何度やってもできない、という要素が加わるのだから、普通だったら「つらい」となってしまう。
痛い、怖い、つらい。
だが荒井優希には「つらい」という感情が生まれなかった。だからこそ、プロレスを続けていくことができたのだ。
「私、基本的に“人”が好きなんですよ。今日も道場で練習か、嫌だなぁ〜と思うこともあったけれど、道場に行けば先輩方がいるし、練習が終わったら、いろいろおしゃべりもできる。それが楽しくて、楽しくて!
あと試合数がどんどん増えていったじゃないですか? それでプロレスも楽しくなってきたんですよ。年内で辞めようと思っていたのは、最初の1か月ぐらいだったかな? いつのまにか『これからもプロレスをやっていく!』に変わっていきました」
結果、彼女は着々と成長していき、年末のプロレス大賞では堂々の『新人賞』を受賞(あまり語られないことだが、これは女子プロレスラーだけを対象としたものではなく、男子を含めた新人レスラーすべてが審査対象となる賞。まさに快挙である)。今年3月の両国国技館では元アイドル(九州の人気アイドルグループ・LinQに所属していた)の伊藤麻希が所持するインターナショナル・プリンセス王座に挑戦するなど、プロレスラーとしてステップを踏んできた。
その一方でアイドルとしては悔し涙を流す事件も起きていた。(後編へつづく)
【後編はこちら】「これでプロレスを続ける理由ができた」デビュー1年、SKE48荒井優希が味わった悔しさと手応え