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UPDATE|2022/05/22

元『週刊プロレス』記者が見た、SKE48荒井優希“二刀流”プロレスデビューからの1年

荒井優希(C)東京女子プロレス 



「プロレスに関してはまったく素の感情でやっています。むしろ、アイドルのときのほうが表情の見せ方を意識していますね。とにかくアイドルとしてステージに立っているときは、絶対に涙は見せたくないし、ずっと笑顔でいたいと思っているので。プロレスをやっているときは、そんなことを考える余裕がないので、素でやるしかないんですよ(笑)。

もちろんプロレスラーとしてのスイッチが私の中にあって、それが入るタイミングっていうのもあるんですね。最初は会場に来たらスイッチが入るのかな? と思っていたんですけど、入場するときにお客さんがサイリウムや団扇で応援してくれるので、そこまでは完全にアイドルモードですよね。コールされるときもそうかもしれない。だから対戦相手と握手をするときか、ゴングが鳴った瞬間にプロレスラーとしてのスイッチが入る感じです」

まったくの素であれだけの喜怒哀楽を表現できる、というのは、もうプロレスラーとして天賦の才があるとしか言いようがない。もちろん、アイドルとして最初に踏んだステージがナゴヤドームという驚異の経験値から「どんなところでも、どれだけ多くの方に見られていても緊張しない」という武器はSKE48から与えられていた。しかし、本人的にはプロレス入りした段階で「とんでもないところに来てしまった」と思い、デビュー戦のころには「もう逃げ出したくなっていました」という。

「とにかく練習をはじめてショックを受けたのが『私にはこんなにもできないことが多いのか?』だったんですよ。格闘技の経験があるわけではないので、人を殴ったり、蹴ったりしたこともないし、逆に殴られたり、蹴られたりしたこともない。プロレスって痛いし、怖いじゃないですか? それでとんでもないところに来てしまったな、と。

もともと『豆腐プロレス』(AKB48グループのメンバーたちが出演した女子プロレスを題材とした連続ドラマ。そこから派生して後楽園ホールと愛知県体育館で実際の大会まで開催された)に参加させていただいていたんですけど、そのときはなぜか私だけ、すごく甘々にしていただいて(笑)。これはできない、あれはできない、と言うと『じゃあ、やれる範囲内のことをやればいいよ』みたいな(苦笑)。

でも、本格的に東京女子プロレスに参加するとなったら、そんなことは言っていられないじゃないですか? そこで自分のやれないことの多さにガックリしちゃったんです。最初は倒立すらできませんでしたからね。こんなこと、いままでの人生で経験してこなかったので、どうしていいかわからなかったです。SKE48で活動していく中でも、たとえば振り付けで『えーっ、こんなのできないよ!』と思うことはありましたけど、徹夜で練習すればなんとかなってきた。でも、プロレスの練習では徹夜でなんとかなるようなことはなくて……」

AUTHOR

小島 和宏


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