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UPDATE|2022/05/11

楽しいを更新し続ける“新生”HKT48全国ツアーの“仕掛け” 矢吹奈子&田中美久の存在感

田中美久(C)Mercury 



その分、ステージ上はかなり充実したセットが組まれた。

3段重ねのステージのうしろには複数のパネル型のスクリーンが設置され、そこには事前に撮影したメンバーのリップシーンなどが映しだされる。わざわざ、このためだけに撮り下ろされた映像。日替わりで登場するメンバーもいて、そのメンバーの映像もしっかりと確認できたので、これは相当な手間ひまがかかっている。

ただ、ステージの様子を映し出すスクリーンはない(ライブ配信されている公演に関しては、その映像は流されている)。どうしてもメンバーの表情がどアップになっているスクリーンを注視してしまうが、ふと視線を落として驚愕した。全員でのパフォーマンスでのフォーメーションが非常に美しい! センターには矢吹奈子が立っているのだが、センターというよりも先頭に立ってメンバー全員をけん引しているような構図に見えた。特に横須賀と渋谷は田中美久が出演できなかったため、矢吹奈子への負担が大きくなっていたはずなのだが、もはや貫禄すら感じさせる存在感で魅了してくれた。

これが新しい「HKT48のコンサートは楽しい!」のカタチ。

新しい、といえば1期生、2期生の卒業が続いたことで、過去の楽曲のオリジナルメンバーがかなり減ってしまった。特に田島芽瑠の卒業により、初期のシングル曲のセンターは全員、いなくなったことになる。

こうなるとHKT48のメンバーがHKT48の楽曲を歌っていても「コレジャナイ感」が出てしまう恐れがある。これはメンバーの入れ替わりがあるグループの宿命でもあり、これまでも何度となく、複雑な気持ちになったものだが、それを打破するためにHKT48はおもいったことを仕掛けてきた。 

それはアレンジをおもいっきり変えて、新解釈ともいうべきものにしてしまう、というもの。特にバンドコーナー(生バンドではないが、事前にバンドによる演奏を録りおろしている)で披露された『74億分の1の君へ』は、歌い出しの時点で「?」となってしまうほどの転生ぶり。豊永阿紀の歌声で、新しいスタイルが動き出した。

豊永だけでなく今回のツアーは4期生の活躍が目立つ。アルバム『アウトスタンディング』収録曲の『あっけない粉雪』では運上弘菜が、そして『HAKATA吸血鬼』では地頭江音々がセンターを務めた。もっといえば、MCコーナーも若いメンバーが仕切るシーンがこれまで以上に多くなっている。

AUTHOR

小島 和宏


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