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UPDATE|2022/03/25

最後の瞬間も笑顔で…乃木坂46 北野日奈子が卒業コンサートで歌った『日常』の意味

乃木坂46 北野日奈子2nd写真集「希望の方角」(白夜書房)


 翌年、北野は復帰した。その年の活動で特に印象に残っているのは、12月のアンダーライブだ。「乃木坂46に入ってからダンスが苦手でした」と思い出を語る映像が流れた後、センターステージに北野がたった一人で登場した。東京・武蔵の森スポーツプラザに集まった1万人の観衆は固唾をのんで見守った。この日のハイライトだった。スモークが炊かれるなか、北野は時に強く、時にしなやかに踊った。

 ここまで踊れるようになりました。その姿を見届けてください。ご心配をおかけしたけど、待っていてくださって感謝します。感情があふれた、北野らしいダンスだった。観客は踊る彼女から本心を透けて見えた。北野はアンダーライブの座長としての役割をこなし、前年の休養からの完全復活を印象づけた。

 この年、北野は『日常』というセンター曲をもらった。これが彼女の代表曲である。大きなライブの定番曲となった。東京ドーム公演でも歌った。復帰後の活動は順調だった。

 一方で、同期は次々と卒業していった。北野の2期生愛はとてつもなく深かった。だが、形あるものはその姿を変えていくのが世の常だ。北野は自分が同期で最後まで残るだろうと考えていた。大好きな同期を見届けたかったからだ。

 しかし、現実はそうならなかった。鈴木絢音と山崎怜奈を残して、卒業することを決めた。

 それはなぜなのか? 答えは卒業コンサートにあった。本編ラストで『日常』が歌われた。この曲は、ありふれた日常から抜け出してみれば、違う景色が見えてくるということが書かれている。
AUTHOR

犬飼 華


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