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UPDATE|2021/12/19

祝M-1優勝 錦鯉・長谷川が語るくすぶっても腐らない秘訣「辞めようと思ったことは何度もある」

錦鯉・長谷川雅紀 撮影/松山勇樹



――40代でのバイト生活は平気でしたか?

長谷川 平気って訳ではないですけど、もう麻痺していました。周りの人間も、同じような人ばかりでしたから。傷のなめ合いじゃないですけど、変な仲間意識というか……。それに甘んじてはいけないんですけど、ライブが終わって、お酒を飲んで、バカな話をして笑ってが楽しくて。40歳を過ぎても青春みたいな、おかしなゾーンに入っていたんです。

――お金持ちになって、いい車に乗りたい、いい家に住みたいみたいな野望はなかったんですか?

長谷川 僕も隆も物欲がないんですけど、それがないからダメなんでしょうね。そこを昔から母親に怒られていました。「みんな欲しいものがあるから、頑張って働いて稼ぐのに、あんたは欲しいものがないから、ギャンブルにお金を使って、何もモノに残らない」と。ギャンブルにしても、たまに勝ったときは、また次のギャンブルの資金にするとか、物に残らない使い方でした。

――いまでも物欲はないんですか?

長谷川 ないんですよ。こないだテレビを買ったぐらいで。もちろん稼げるに越したことはないんですけど、使い道がないんですよね。まあ、昔は値段を見ながら少しでも大きいパンを買っていたのが、今は値段を見ないで好きなパンを2個買える。そこは変わったなと。あと、それまで後輩におごったことがなかったんです。逆に後輩からお金を借りたり、おごってもらったりしていましたから。やっと今は後輩におごることができて、それはうれしいですね。

――では今後、「M-1」優勝以外に、どういう目標を持っているのでしょうか?

長谷川 今年に入ってやっとテレビのお仕事が増えてきた状況ですから、訳が分からないまま時が過ぎているような感覚です。毎回収録が終わるたびに、「あれで大丈夫なのかな」って思いますし、正解が分からないです。ただ、こんな僕でもレギュラーの冠番組を持ちたいです。もともとダウンタウンさんやとんねるずさんみたいになりたいと思ってやってきたのがオーディションも受からないし、コンテストも受からないしで、自分の実力が分かってくるんです。

そうすると、月に1回はテレビに出たい、週に1回のバイトで食えるようになりたいと、目標がだんだん下がってくるんですよ。でも現金なもので、こうしてテレビに出させていただくようになって、目標も大きくなって。今は若手時代のモチベーションに戻っているかもしれないですね。

――故郷に錦も飾れましたしね。

長谷川 そうですね。札幌のライブに出させていただいたときは、母親、姉、弟、親戚、母親がやっている居酒屋のお客さんと30人ぐらいで観に来てくれて、そのときに姉と20年ぶりに会ったんですよ。札幌の番組にも今年に入って何度も出させてもらっていますし、仕事で富良野や函館にも行きました。いずれは北海道で冠番組をやりたいですね。月に2回程度帰って2本撮りすれば、そのたびに友達とも会えるし、母親にも会えるし。それも大きな目標ですね。(後編に続く)

▽錦鯉の自叙伝『くすぶり中年の逆襲』が新潮社より発売中
1,430円(税込)
AUTHOR

猪口 貴裕


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