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UPDATE|2023/03/16

横山裕の演技も話題に、『舞いあがれ!』制作統括に聞く「兄・悠人の失敗と再生」

連続テレビ小説『舞いあがれ!』より NHK提供



そしてリーマンショックは乗り切った悠人も、順風満帆とはいかずに取引に失敗。損失を埋めるべくインサイダー取引に手を出してしまう。

「皆さん、リーマンショックで失敗するんだろうと思っていたんじゃないでしょうか(笑)。ただ、実際に悠人のようにリーマンをうまく切り抜けて、そこで大きく儲けた投資家もいたんです。悠人はちゃんと努力してきた人ですから、そっち側じゃないかなと。

でも、その後にインサイダーで失敗する。あの時期には政府の新しい経済政策が出て、いままでの手法では相場の動きが読みにくくなり、撤退した投資家も結構いたらしいんです。だから悠人がつまづくならそこだろう、と。本来の悠人ならば、インサイダーは絶対にやらないと思っていた。でも、失敗をなんとか取り返したいという焦りから手を出してしまう。それで自己嫌悪に陥ってしまうわけです」

そこで手を差し伸べたのが、めぐみや舞といった家族たち。

「身近な人たちがもう一度自分の人生をどうやって生きていくのかを考えて立ち直ってほしいと思って支えてくれる。そういう人たちが周りにいることで、改めて受け止めてまたスタートする。ドラマの序盤で『失敗ばすっとは悪かことじゃなか(失敗することは悪いことじゃない)』という祥子さんの言葉がありますが、まさにそうなんです。ドラマの中では悠人に限らずみんな繰り返し失敗するけど、大事なのはそこからどうするか。それが大きなテーマになっています」

山下美月演じる久留美と悠人が、舞と貴司の結婚パーティーの後に公園で語り合うシーン。そこで悠人は「金を稼ぐことしかできない」とこぼすが、久留美は「おカネを稼ぐってすごいじゃないですか」と返す。失敗してもそれまでやってきたことを否定するのではなく、積み上げてきたものムダにせずに進んでいく。それが、『舞いあがれ!』に込められたメッセージなのである。

【あわせて読む】『舞いあがれ!』チーフプロデューサーに聞く、福原遥ヒロインオーディションの裏側

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