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UPDATE|2023/03/12

山田邦子が語るコンプラ時代のお笑い「結局漫才って、おもしろいかどうか」

山田邦子 撮影/西邑泰和



テレビが徐々にコンプライアンス重視の姿勢になっていったのも、「YouTube時代」を一気に進めましたよね。私個人は、人の見た目なんて個性なんだから、それをキャラクターにしている人は当たり前にいて、イジってもらいたいだろうなと思っているけど、時代がそれを許さなくなった。

若いお笑いの子たちも、そんな中で一生懸命ネタを作ってるなあ、って感心します。どこかみんなびくびくして、のびのびとしたネタは作れていないかな、という気はするけど。「M-1」で言えば、優勝したウエストランドは、よくやった! って感じですよ。あれ、嫌な感じは受けなかったですもんね。毒を散りばめても、ちょうどよく「そう思うわ~」っていう。

みんなすごく高度な、いい漫才をしているんですよ。でもやっぱり、全体として「勢い」みたいな部分は昔より弱くなってる。今の子たちにしても、私なんかに「うまい」って言われたくはないでしょうね。結局漫才って、おもしろいかどうかなんで。

たけしさんたちが漫才やってたころって、みなさんキャラがすごく立ってたし、そのコンビがいるだけで、そして舞台に立っただけで「待ってました!」って感じだった。そういうことはなくなりましたね。

昔はファンレターだとかたまたま町で出会ったとか、そういうことでしか見ている方の声が届かなかったけど、今はテレビやネットだけじゃなくてプライベートでも何かやった瞬間から本人に届くようにSNSにコメントが来る。すごい時代ですよ。世の中全部が評論家で。

それって社会にとっては本当の自由ってことなのかもしれないけど、お笑いにまで作用してくるのなら、やってる方としてはちょっとしんどいな、っていう感じはするんですよね。

【中編はこちら】山田邦子、多忙すぎた昭和のテレビ界「朝6時に終わって朝6時スタート、何時に寝るの!?」

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