FOLLOW US

UPDATE|2023/03/01

“アウトロー文化人”瓜田純士が詳細解説「BreakingDownが大ブレイクした本当の理由」

撮影/たむらとも


とかく危険なイメージが付きまとうBreakingDownだが、大会に出場できる時点で運営サイドの身体検査は済ませたという見方はできる。地上波放送ほどではないにせよ、ABEMAの人気コンテンツである以上、関係者が慎重になるのは当然の話だ。

「スポンサーや銀行筋の意向も働くだろうし、各種反社勢力の大運動会みたいな真似は絶対にできない。たまに出場者でトラブルを起こす奴もいるけど、そんなのは問題レベルとしては微々たるもの。昔の地下格とかに比べたら絶対的な安全圏にいますから。『こいつら、どうせ何かしら問題を起こして消滅する』とかよく言われますが、意外にその点は心配することないんじゃないかと」

そんなことよりもBreakingDownが大ブレイクした過程において、見落とされがちだが重要なのは“ルール問題”だと瓜田は指摘する。基本は1分間で、立ち技のキックボクシングルール。このことが血気盛んな若者の闘志に火をつけたというのである。

「誓ってもいいけど、もし3分間だったらこんなに人気は出なかった。それは観る側が退屈するからではなくて、出る側のモチベーションの話です。ろくに格闘技経験のない連中にとって、3分ずっと動き続けるって拷問ですからね。でも『60秒なら、俺でもいけるんじゃね?』ということで、応募が殺到したのでしょう。

同様に組技・寝技がないことも追い風になった。実際の街のケンカって、殴り合いよりは組み合いの中で勝負が決まるものなんですよ。それはケンカ慣れしている奴なら常識。たとえば居酒屋とかで誰かと揉めたとき、酒が入っていたら相手がボクシング経験者であっても『上等じゃ、オラ!』って殴りかかるかもしれない。だけど相手の耳がカリフラワー状態に湧いていたり、柔道で国体に行ったとかいう話が出てくると、急激に酔いも醒めるはずです」

さて、今後のBreakingDownはどこまで大きくなるのだろうか? その勢いはとどまることを知らず、我が世の春を謳歌しているようにも感じるが、瓜田は意外にも「運営は難しい舵取りを迫られている」と見ている。

「海外に活路を見出そうとしているようだけど、相手が韓国人とか中国人だと見た目が似ていて“国別対抗戦”という色合いが薄くなる。プロ選手も参戦し始めたけど、競技化が進むと、オーディションの丁々発止を含めたBreakingDown本来の面白さが損なわれる。『ガチンコファイトクラブ』でいえば、今のBreakingDownは4期生の段階。梅宮(哲)のキャラに魅力があったから引っ張ることができたけど、このまま同じことをやってもダメじゃないかという感じはしますね」

仕掛人が朝倉未来でABEMA放送されるというメジャー感、昔から日本に深く息づくヤンキー文化、「1分決着の立ち技ルール」という敷居の低さ……様々なファクターが重なってBreakingDownは人気爆発した。最近は話題作りを目的とするインフルエンサーの出場も増えてきたが、瓜田自身はこうした傾向に警鐘を鳴らす。

「結局、大事なのは緊張感。『あいつ、ちょっとマジなんじゃないの?』と視聴者に思わせることが求められるわけです。元本職だろうが、元薬物中毒者だろうが、肩書はなんだっていい。でも、毒がない奴は根本的にBreakingDown向きじゃないですよね。俺自身、そういう毒の部分で求められてきたと思うし。視聴者はもちろん、俺みたない奴でもショックを受ける、強烈でどぎつい連中が現れてほしいです」

味わったら忘れられないBreakingDownという名の劇薬。その危険な香りに日本はますます浸食されていきそうだ。

【あわせて読む】BreakingDown瓜田純士がバン仲村戦へ心境激白「みんなが期待している感動ストーリーにはならない」
AUTHOR

小野田 衛


RECOMMENDED おすすめの記事