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UPDATE|2023/01/28

アカデミー賞インド代表で世界的注目 歌や踊りのないインド映画『エンドロールのつづき』の監督を直撃

(C)2022. CHHELLO SHOW LLP



──本作は「歌や踊り」のないインド映画として、珍しく思われていると思うのですが、もともと、東インドのベンガル語映画などは、「歌や踊り」があまりない印象があります。配信サービスの普及で、ストーリーテリングの在り方が変化していて、ここ5~6年ほどで北や南の商業的映画においても「歌や踊り」が減ってきたと思いますが、グジャラート語映画はどちらかというと、もともと「歌や踊り」というよりもドラマ性重視な作品が多かったのではないでしょうか?

パン・ナリン監督 歌やダンスの映画がないわけではないのですが、ヒンディー語映画などと比べれば規模はかなり小さいです。そのためどちらかというと、社会派やドラマ性の強いもの、そしてコメディ作品が得意。さらに、グジャラート州では演劇界が盛り上がっていて、優れたコメディライターがたくさんいることからも、演劇を映画に脚色するというスタイルも多くなってきています。またヒンディーやテルグ映画のような大衆系映画を作ろうと試みて、ホラーやアクション映画に挑戦しているクリエイターがいることも事実ですが、まだまだといった感じです。

今回、『エンドロールのつづき』は、日本で初めて一般公開されるグジャラート語映画ですが、アメリカやイタリアでも初めて。私は言語というものは、音色みたいなものだと思っていて、作品によってふさわしい言語を常に選んでいます。長編デビュー作の『性の曼荼羅』(2001)は、チベット語でも少数の人しか話さない方言の言語を使用しましたし、『花の谷 -時空のエロス-』(2005)では東京で撮影していることもあって、45分ぐらいは日本語が使用されています。

とくに『エンドロールのつづき』の場合は、グジャラートのカーティヤワールが舞台になっていて、物語自体がそこに根付いたものになっていることからグジャラート語であることは欠かせない要素であり、またカティアバルには独特の訛りがあるので、そこも徹底しました。つまりカーティヤワール弁映画としては世界初ではないかと思っています。

──今作にはリティク・ローシャン主演の『Jodhaa Akbar』やアムパム・カーの『アパートメント』など、数々の映画のシーンやポスターなどが使用されていますが、その中でプラティチー・モハパトラの曲、「Dil Dola Re」が流れていたので気づいたのですが、パン・ナリン監督自身の『怒れる女神たち(Angry Indian Goddesses)』の映像も使われていたと思います。他にもお遊び的に自身の作品を使用されているシーンはありますか?

パン・ナリン監督 そのシーンで使われていたのは『怒れる女神たち』で間違いありません。そしてもう1つあります。子どもたちがガラクタで作った映写機で映画を上映しようするシーンの中で使用されているのは、『花の谷 -時空のエロス-』(2005)という作品です。(ちなみにこの作品には、まだ無名時代の綾野剛が出演している)


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