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UPDATE|2022/03/29

西島秀俊&鬼才監督・濱口竜介が語る『ドライブ・マイ・カー』が3時間の長尺でも“短い”ワケ

濱口竜介×西島秀俊 撮影/西邑泰和

西島秀俊主演、村上春樹の短編を映画化した濱口竜介監督最新作『ドライブ・マイ・カー』が、第94回アカデミー賞で国際長編映画賞を受賞した。その受賞を記念して、「ENTAME next」では昨年8月の映画公開時に収録した濱口竜介監督と西島秀俊のインタビューを改めてお届けする。新たな傑作誕生に至るその舞台裏とは?(インタビューは昨年8月の映画公開時に収録したものです)

【写真】『ドライブ・マイ・カー』西島秀俊×鬼才監督・濱口竜介の撮り下ろしカット

――村上春樹さんの淡々とした語り口の短編集が原作で、上映時間は実に2時間59分。そう聞くと、観る側にもそれなりの気合が必要と言うか、商業映画としてはなかなかにチャレンジングな作品だな、というのが第一印象でした。

濱口 そうですよね。昔に比べて集中して映画を観られなくなっているというのは、僕自身の実感としてもあるので、上映時間に思わずひるんでしまう、という気持ちはすごくよくわかります。ただ、映画館で映画を観るという体験においては、この約3時間という尺が長すぎるかと言ったら、必ずしもそうじゃない。(クエンティン・)タランティーノの作品あたりもそうですけど、実際に観てみたら、長さを感じない濃密な時間というのは、やっぱりあるし、そういうものを目指しています。

――確かに、作品を拝見するとまさに“濃密”という言葉がしっくり来ました。巷では“ファスト映画”なども社会問題となっていますが、あらためて、映画体験って本来こういうものだな、と。

濱口 実作業をするこちらとしても、出来上がったものが3時間になったときは「なんてことだ!」と、やっぱり青ざめるわけですよ。でもこの作品に関しては、プロデューサーの定井(勇二)さんが「これ以上、切る必要はない」と腹をくくってくれた。いちばんリスクを負っている人から、確信をもって「この映画はこの時間で、商品としても勝負できる」と判断してもらえたというのは、僕としてもすごく自信にはなりました。


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