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UPDATE|2021/08/18

カンヌ席巻『ドライブ・マイ・カー』で好演 女優・霧島れいかが挑む自身2度目の村上春樹ワールド

霧島れいか 撮影/西邑泰和

第74回カンヌ国際映画祭(7月17日閉幕)で、日本映画として初となる脚本賞に輝き大喝采を浴びた話題作『ドライブ・マイ・カー』(8月20日公開)。本作は濱口竜介監督、村上春樹による同名短編小説をもとにした作品で、西島秀俊、三浦透子、霧島れいか、岡田将生ら豪華俳優が出演している。今回、村上春樹原作には、『ノルウェイの森』(10)以来、2度目の出演となる女優・霧島れいかに、作品に対する想いの丈を聞いた。

【写真】カンヌ席巻『ドライブ・マイ・カー』で好演、女優・霧島れいか&『ドライブ・マイ・カー』場面写真

――霧島さんの演じる主人公・家福悠介の妻・音は、原作でもそのパーソナリティがほとんど語られていない謎多き女性です。役作りという部分ではかなり難しかったのではないですか?

霧島 実は、濱口(竜介)監督が脚本にはない悠介と音のサブストーリーを詳細に書いてきてくださったので、役自体にはすんなりと入れました。撮影前には、西島(秀俊)さんと二人でそれを本読みしながら、実際に演じてっていう時間も、丸3日間ぐらいは取っていただきましたし、渡されたテキストには、音が答えたという設定のアンケートも用意されていていました。なので、私自身はそれらをしっかり読んで、あとは自分のなかに落とし込むだけでよかったんです。

――夫婦の過去のエピソードから、個別のアンケートまで!! 映像にはならない裏側にも、そこまでの作り込みがあったとは驚きです。

霧島 アンケートを書いているのは濱口監督ですけど、そこにある言葉は、彼女そのものでした。今日の取材に合わせてぜんぶ読み返してみましたが、本当にすごい。「音ってこういう人なんだな」ってあらためて彼女への理解が深まった気がします。映像には映っていないにせよ、私自身が腑に落ちるためにもこれは必要なプロセスだったんだなと思いました。

──劇中では、戯曲『ワーニャ伯父さん』の台本を朗読する音の“声”が吹き込まれたカセットテープも重要な役割を果たします。

霧島 テープの声に関しては、練習する時間はあまりありませんでした。収録の際も「じゃあ、ちょっと読んでみてください」といった感じで本番に臨みました。ほとんど抑揚をつけずに、実際の舞台と同じ“間”で思うがままにまず読んで、それを監督が横で目を閉じて聞いていて、「ここはもうちょっとゆっくり」とか指示していただいて、本当にそれぐらいでした。録っているときは、それがどんなふうに使われるかもあんまり分かっていなかったので、完成した映像を初めて観たときに、ちょっと感動しました。


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