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UPDATE|2022/09/24

主戦場は地上波からPPVに?「メイウェザーVS朝倉未来」ABEMAプロデューサーに聞く勝算

ハワイでの会見に登場したメイウェザーと朝倉未来 (C)AbemaTV,Inc.


変わりつつあるのは、選手側だけではない。中継側も同じだ。これまで格闘技のビッグマッチは「地上波放送ありき」で成立してきた歴史がある。だが、那須川天心と武尊の「THE MATCH 2022」では、開催直前になってフジテレビが中継から撤退。生中継はABEMAでのPPVのみとなったが、蓋を開けてみれば、50万件以上購入され、その売上は単純計算で25億円以上と想像できる。

「THE MATCH 2022」製作実行委員会の榊原信行氏も大会後の会見で「一気に時代が動きました。格闘技界の新たなビジネススキームが誕生したといっても過言ではないと思います」と指摘したほどビジネス的に成功を収めた。

だが、北野氏は「THE MATCH 2022」を機に格闘技放送は地上波からネット配信に主戦場が移ったという見方は違うのではないかと指摘する。

「もともとRIZINの地上波放送は年に2回程度。すでに地上波で格闘技をやる時代ではなくなっているという前提がある。これはボクシングが地上波からネット配信に移行していることも含め、世の景況やメディアのビジネスモデルが栄枯盛衰的に変化しているということで受け止めるのが正しいのではないでしょうか」

「THE MATCH 2022」一夜にして変わったわけではなく、それ以前から変わりつつあり、今もまだ過渡期だというのだ。

「格闘技界全体を見ても、まだPPVで稼げるスターというのは限られていて、たとえばですが朝倉未来選手、那須川天心選手、武尊選手、井上尚弥選手、村田諒太選手……仮にこの5人だとします。でもこの5人のほとんどは地上波で名を成した存在ですよね。5人のPPVが売れているのは、彼らが地上波から来たスターだから。もちろん朝倉選手のYouTubeなどは別に考えなくてはいけないんだけど、ボクシングは地上波の世界戦で存在を知ったという人がほとんどだと思うんです」

PPVの売上を上げられる選手を作ったのは地上波。だからまだ主戦場が移ったとは言えない。

「今は格闘技のスターが引越ししている最中なんですよ」(北野氏)。そんな過渡期でのABEMAとして課題は、いかに自前で新たなスターを作るかだという。

「『どうやって無料粋でスターを作るか?』がテーマですね。ABEMAとして一番頑張らなくてはいけないのは無料の生中継。そこでスターを作りたい。また、選手のYouTubeなんかに対してもサポートは惜しまないつもりです。彼らのストーリーや日々感じていることを積極的に届けなくてはいけない。地上波に頼れなくなったら、今後はしんどい戦いも増えるはずですから」

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AUTHOR

小野田 衛


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