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UPDATE|2022/09/09

「ホス狂いはステータス」歌舞伎町で取材2年、女性記者が見たホストに貢ぐ女性の不思議なポジティブさ

写真はイメージです


「1本数万円から数十万円のシャンパンをホストのために入れて、こんな豪遊もできてしまう私をアピールしたい心理もあるのでは。ホストへの愛情や『推す』心理だけが大金をつぎ込む理由ではないようです」(宇都宮さん)

 2000年代以降、定期的に訪れるホストブーム。昨今のホスト界と過去との違いについて、宇都宮さんはこんな視点も投げかけた。

「過去のホストブームはホストたち、男の視点から語られるものが多かったのです。夜の街でのし上がったカリスマホストのサクセスストーリーや、マンガ『夜王』『ギラギラ』などのフィクションにしてもそうです。でも現代では、女性たちもSNSでホス狂いの様をてらいなく発信し、客である女性の側からホストの世界が語られるようになりましたね」

例えば夜の街の当事者への取材を交えて描かれ、マンガとドラマでヒットした『明日、私は誰かのカノジョ」。この作品も「すごくリアルです」と宇都宮さんは評価する。本書『ホス狂い』もノンフィクションながらその系統で、女性たちの生々しい体験談と著者が歌舞伎町で見聞きした出来事で、2020年代の歌舞伎町を生々しくルポした。

「歌舞伎町に居場所があって、ホストの男性たちのために大金を稼げることが生きがいになっているような女性もいるんですね。中には夜職で得たスキルを活かして海外セレブの接待でさらに高収入を稼ぐ『女王』のような女性も現れました」

「風俗堕ち」という言葉もあり、貧困ビジネスのように少女たちを養う大人も登場するが、歌舞伎町での経験を商売のタネにして逞しくのし上がっていく「ホス狂いYoutuber」も現れる。「彼女たちは自分が主人公のストーリーを求めているように思いました。その舞台がたまたま歌舞伎町であり、ホストのために生きていることが現在進行形で人生のストーリーを作っているように見えます。男に弄ばれて、奴隷のように貢がされている可哀想な存在、という一面的な見方はできないと取材を通じて考えました」(宇都宮さん)

【後編はこちら】「人が落ちてくるからタクシーを使う」自殺未遂は日常茶飯事、歌舞伎町での死の軽さと男たちの本音
AUTHOR

高史 大宮


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