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UPDATE|2022/09/09

「人が落ちてくるからタクシーを使う」自殺未遂は日常茶飯事、歌舞伎町での死の軽さと男たちの本音

写真はイメージです

一晩のシャンパンタワーに300万円、「担当」たる彼の売上のためにパパ活・風俗で働いてまでホストに貢ぎ続ける「ホス狂い」の女性たち。なぜ彼女たちはホストクラブから離れられないのか。歌舞伎町のホテル・マンションを借りて、女性たちのリアルを取材し、このほど「ホス狂い」(小学館新書)を上梓したばかりの女性記者・宇都宮直子さんに不夜城の今を聞いた。(前後編の後編)

【前編】「ホス狂いはステータス」歌舞伎町で取材2年、女性記者が見た、ホストに貢ぐ女たちの不思議なポジティブさ

 2020年春から歌舞伎町で取材を始めた宇都宮さんは、ディープな取材のために「ヤクザマンション」との評判が立つ物件を借りて住み込み取材を敢行したこともある。歌舞伎町の空気を体感していくなかで、自殺や自殺未遂のあまりの多さと、それを当たり前に眺めている住人たちに遭遇した。取材のためにチェックインしたホテルからして、2日前に14歳の少女と18歳の少年の飛び降り自殺が起きたばかりの場所だったほど。

「歌舞伎町は未遂も含めて飛び降りが多いんです。でも慣れると『これは大丈夫かどうか』まで分かってくるみたいで、下から平然と眺めていたり、『道が混んでてムカついた』なんて反応するのが日常です。取材相手の『いちごチェリーさん』という女性は『人が降ってきて危ないからタクシーを使うの』と言っていました」

飛び降りが多発する理由は、施錠されておらず屋上に出られるビルが多いことと、ホストクラブへの「あてつけ」もあり目立つ形を選ぶのかもしれない。「目立たない自殺や表にならない傷害沙汰はもっと多いのではないでしょうか。ちなみに私が取材で入居したマンションはすべて事故物件でした」というほどだ。
AUTHOR

高史 大宮


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