――その後、アプガ(プ)のオーディションを受けようと思ったのは?
乃蒼 高校を卒業して美容の専門学校に通っていたんです。ちょうど就活の時期で、親からは「なにか好きなことをやってみれば。どうせ働かないんでしょう」って言われていた頃で。当時はプロレスのコスチュームが作りたいと思って服の勉強していたんですけど、やっぱりプロレスをやりたいなって思ったんです。
――無事オーディションに合格されますが、アプガ(プ)は当初からプロレスラーとアイドルの両立を掲げていました。ヒカリさんはアイドルにはどれくらい興味があったんですか?
乃蒼 実は(お姉さんグループである)アップアップガールズ(仮)も、最初は知らなかったんです。他のメンバーは私とは逆で、アイドルになりたくてオーディションを受けていたから、最初は全然話が合わなくて苦労しました。アイドルイベントに行くと他の2人で盛り上がるんですよ。逆にプロレスのビッグマッチで、レジェンドのレスラーさんが来ると私はテンションが上がっていました。
――まったく興味が無かったとしたら、アイドルのレッスンは辛くなかったですか?
乃蒼 ダンス経験がなかったので、レッスンは本当にしんどくて手も足も出なかったですね。逆に、プロレスの練習生として会場に行ってチケットのもぎりをやったり、セコンドにつけさせてもらった時は、めちゃくちゃ楽しかったです。ほかのメンバーはライブが決まると「やったー!」みたいな会話をしているのに、私は「どうしよう…」と思っていました。心の中では「生きて帰って来れるかな」って思ったり。
――危険度でいうとライブよりデスマッチの方が高そうな気もしますが(笑)。でもヒカリさんはアイドルとして『HIKARI NOAH Solo Project』でソロデビューもされています。
乃蒼 それは違うんですよ! (事務所の)社長から「やりたいことあるか」って聞かれた時に、冗談半分で「写真集を作りたい」って言ったら、もれなくソロデビューが付いてきて(笑)。企画を聞いた時は、「私が歌うの? 」と思ったぐらいで。今でも歌は苦労しています。一人で歌うってなると、みんなこっち見るじゃないですか。緊張で「うわー」って思うんですよ(笑)。今でもソロで歌うのは慣れないですね。
――では、プロレスの練習の方は辛くなかったですか?
乃蒼 しんどかったですが、一つずつできるようになる嬉しさの方が大きかったですね。でも試合になるとやっぱり勝ち負けが出てくる。だから最初は、試合は好きではなかったです。
――と言いますと?
乃蒼 アイドル志望だった他のメンバーが先に勝って、私より前に行かれると辛かったです。自分が一番プロレスを好きだから、周りを引っ張っていきたかった。でもいつの間にか、メンバーの背中を追っているみたいな状況になっていて。最初は一年で辞めるって私自身も言っていました。全然勝てなくて、心が折れてやめたかった。でも今では5年目で、東京女子プロレスの中でも長い方になりました。