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UPDATE|2022/06/14

現役引退25年・工藤めぐみが語るレスラーにとっての“入場テーマ曲”「自分の歴史にリンクしている」

現役引退25年・工藤めぐみ



プロレスラーにとってテーマ曲はとても大事なもの。もはや一心同体といっても過言ではないが、団体から与えられた楽曲をそのまま使っている選手もいれば、自分が好きなアーティストの楽曲を持ってくる選手もいる。長州力のように1曲だけで現役時代を通してしまうトップレスラーもいれば、武藤敬司のように数年間という短いスパンで、その時々の自分のイメージに合わせてテーマ曲を変えていくスタイルもある。

「私は最初にFMWのリングに上がったときは、ほんの数試合だけですけど『デンジャーゾーン』を使っていました。当時、トム・クルーズがすごく好きで、はじめて買ったビデオも『トップガン』だったので、その流れですね(笑)。本当にちょっとしか使っていないので、その入場シーンを見たことがある方ってものすごく少ないと思います。

そのあと、しばらくボン・ジョヴィの『I’ Die For You』を使っていました。これは一度、プロレスを辞めていたときに気にいった曲。だから、私のテーマ曲は自分の歴史にいろいろとリンクしているんですよね。

そして、オリジナルのテーマ曲を作りましょう、という話になって『どういう楽曲がいいですか?』ってスタッフさんに聞かれたんですけど、私は『哀愁のある曲がいい』って。明るく元気な応援歌ではなくて、ちょっと陰があるような曲がよかったんですよね。ただ、あんまり音楽の知識もないし、うまくテイストが伝えられなかったので、最後はずっと使っていたボン・ジョヴィの曲を聴いてもらって『こんな感じで』って(笑)」

こうして制作されたオリジナルテーマ曲『ワン・ウェイ・ハート』は引退試合まで使い続けられた。ハードなデスマッチに臨むときには、テーマ曲の哀愁感が非常にマッチした。そして、現在もリングに登場するときにはこの曲が使われている。ちなみにアイドル人気が沸騰したため、歌手としても『キープ・オン・ランニング』という楽曲をリリースしており、そのカラオケバージョンが入場時に流されたこともあったが「あの曲は自分で作詞をしたりして思い入れは深いんですけど、まさか入場テーマとして使われるとは思っていなかったのでちょっと恥ずかしかったです」とのこと。その反動から『哀愁のある楽曲』というリクエストにつながったのかもしれない。

「テーマ曲の大事さはプロレスラーとしてはもちろんですけど、私はファン心理でもわかるんですよ。曲が流れた瞬間の『わーっ!』ってなる感覚もわかるし、とても重要だなって。レスラーそれぞれの想いが楽曲に詰まっているし、プロレスラーの要素のひとつとして、テーマ曲は組みこまれているんだと思います」

AUTHOR

小島 和宏


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