FOLLOW US

UPDATE|2022/05/28

運動神経も身長も劣っていた、それでもKAIRIがWWEで成功した理由「渡米直後は毎日涙」

撮影/関根いおん


KAIRI 向こうではプロモーション・クラスというマイクの練習をするクラスがあるんです。キャラクターやストーリー性をすごく大事にする団体なので、マイクパフォーマンスの上手さはキーポイントです。渡米した当初、課題を言い渡されてプロモクラスの前に家で何度も練習していたのに、本番ではうまく英語でしゃべることができずしどろもどろになってしまって。先生も溜め息をついているし、教室もシーンと静まり返っているし……。そういうときは車で大きな湖まで行って、そこで体育座りしながらボロボロ悔し泣きしていました。(笑)

──英語でのマイクパフォーマンス、難しそうです。

KAIRI また、マイクで言うと日本ではないようなことも求められるんですね。たとえば生放送の時間調整のため、急にマイクを渡されて「1分間だけ何かをしゃべって!」とかムチャ振りされることはしょっちゅうでした。緊張感が尋常じゃないし、寿命が縮まる思いを何度もしました。

──結構アドリブ性も求められるんですね。

KAIRI 臨機応変に対応することがすごく求められる世界で。たとえばメインで試合があると聞いて、いざ会場に着いて食事をしていたら「ごめん、やっぱり1試合目になった」とかいうこともありますし。ストーリーの流れとかも、当日も会場の盛り上がりを見て容赦なく変えていくんですね。なので、バックステージでも常にスイッチを入れておかないといけませんでした。

──外国での活動は、言葉の壁も大きいと思います。

KAIRI もちろんそれもありました。プロデューサーやカメラマン、コーチとのやりとりも当たり前ですが全て英語で、最初はネイティブの話す早い英語が聞き取れなくて本当に苦労しました。選手同士の人間関係を構築するためにもコミュニケーションは必須なので、毎日英会話の勉強は欠かしませんでした。週に2回ほどWWEが設けてくれた英会話クラスは私にとって本当にプラスになりましたね。

──その他の苦労はありましたか?

KAIRI WWEで何が一番恐ろしいかっていうと、1回チャンスを逃すと、もう使ってもらえないということでした。本当にシビアなんですよ。WWEは男女混合の団体だけど、女子の試合は一つの大会に1、2試合組まれるだけなので、基本的に2〜4選手しか出場できないんですね。その狭い枠を狙って全員が鎬を削っているわけで。私もそうであったように、チャンスが回ってこなくて焦ったり落ち込む選手がたくさんいました。「あぁ、今日も試合が組まれない……」って。試合が組まれない辛さは日本では一度も体験したことがなかったので、苦しかったですね。
AUTHOR

小野田 衛


RECOMMENDED おすすめの記事