──ネタの数はどれくらいあるんですか?
街裏 400くらいあって、捨てるネタもあれば、4~5年前のネタをリメイクすることもあるんです。
──まるっきり同じではないんですね。
街裏 何かひとつ足すだけで、その部分を活かそうとネタ全体に潤いが戻って新鮮にしゃべることができるんです。
──芸人によって完璧を求めて練習を繰り返す方も、新鮮さを保つために練習しすぎない方もいると思いますが、街裏さんはどちらのタイプでしょうか?
街裏 僕は練習しすぎないタイプですね。一言一句ノートに書いて、自分でブツブツ言いながら“絵”を思い浮かべて、本番ではその“絵”をイメージしてしゃべってます。旅行の思い出を友達に話すような感覚というか。本番で“絵”が抜け落ちることがあっても、思い出して「言い忘れてんけど」と付け加えれば、それはそれでリアルなんじゃないかと。落語のように文化を背負っているわけではないので、ラフにやっているところではあります。
──街裏さんの架空漫談を本気で信じる人もいましたか?
街裏 いますねぇ。『アンパンマン』にトルコアイス男爵が出てきて……というネタを本当だと思った方もいますし、「大阪にある高槻プラチナ温泉のCMに出た」と言ったら、YouTubeに「嘘じゃないか!」と怒りのコメントがきました。怒るんじゃなくて、もう一歩踏み込んで楽しんでほしいんです。そもそも、何で僕の漫談から情報を得ようとしとんねんという話で。温泉を知りたかったら『じゃらん』を見れくれと(笑)。
──リアリティを出すための工夫はあるんですか?
街裏 ネタごとにどこまで情景描写をするか考えているんですけど、リアリティを出すための一番の方法は本音でしゃべることだと思ってます。自分が本気で面白いと思ってないと、お客さんに伝わりますから。ただ、ハリウッドザコシショウさんからは「それがあかん」と言われるんです。
──何がダメなんでしょうか?
街裏 漫談を褒めていただいたうえで「3分で絶対に爆笑を取れるパッケージを作っておく必要がある」と言われました。「自分が面白いかどうか」に固執することが甘えなんだと思います。