カバンをひっくり返すことは止めた。今まで以上に堂々と「昭和が好き!」と発信し続けると、理解する友人も増えてきた。
「高校3年生の文化祭、出し物でクラスの女子みんなで踊ることになったんです。周りが韓国アイドルの曲をやろう!と盛り上がる中、私はCOMPLEXさんの『BE MY BABY』で踊ろう!と提案したんです。『絶対にイヤ!』と反対されたのですが駄々をこねて(笑)。そうしたら、『練習でなら一度だけ夢叶えたる』と、私が振り付けしたものをみんなで踊ってくれたんですよ。
この頃、クラスのみんなは『昭和、いいよなあ』と、私の趣味を温かく見守ってくれるだけでなく一緒に楽しんでくれて。当然“変な子”扱いの子はいましたが、もうそんな目線なんかどうでもいい!って思うようになっていました。好きなものを好きと言えるようになってから、もう毎日が楽しくてしょうがない。誰になんと言われようと、自分にウソをつかず好きなことをしないとやっぱダメですね」
昭和の虜になって10年が経つ。阪田にとっての昭和愛はもはや楽しむだけにとどまらず、「#ネオ昭和」を通して昭和文化の寄与について真剣に考えている。
「今は昭和をブームとしてみなさん楽しんでいますよね。けどブームって絶対に終わってしまうから、それが一番怖い……。何事も盛り上がるのは良いけれど、消費されつくしたら、また昭和をただの“古いもの”として見て、これまでの盛り上がり全部を無かったかのように扱うんだろうなって。
純喫茶に銭湯と昭和のものが消えていく中、今の流れが一過性のもので終わってしまうのはすごく寂しいし怖い。いつまでも“昭和”という時代・文化を残していくために、私にできることは何でもやりたいなと常に考えています」
昨年以上に「#ネオ昭和」を広めるべく、「今年は種を蒔く年」とSNSに綴った。さらに、「#ネオ昭和」を芽吹かせるために、この先どんな種を蒔こうとしているのか?
「昨年は、たくさんのチャンスをいただいたからこそ『もっと頑張らな!』と焦りすぎて、冷静に周りを見られない瞬間があったんです。今年は昨年から続く歌やラジオなどのメディア活動を、さらに深めるための日々にしたい。SNSの発信が今はメインですが、それだけでは中々続かないと思います。
私は昭和を現代に根付かせたいからこそ、この活動をずっと続けたいんです。そのために新しい昭和歌謡音源を出したりバラエティやラジオでの活動を通じて発信し、『#ネオ昭和』をレベルアップさせていくことが、今一番の目標ですね」
(取材・文/田口俊輔)