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UPDATE|2024/03/11

『マダム・ウェブ』の前にこれを観ろ!有村昆が語るアメコミと映画業界の権利関係

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現在公開中、世界中から注目を集めているマーベル新作『マダム・ウェブ』。今回、映画評論家の有村昆が、アメコミと映画業界についての権利関係について解説します。また、『マダム・ウェブ』の「お供映画」として、 “ついでに”観ておくとより楽しめるという作品をご紹介!最旬話題作に切り込みます!

【写真】マーベル初の本格ミステリーサスペンス、『マダム・ウェブ』場面写真【8点】

スパイダーマンの世界観で展開する新作『マダム・ウェブ』が公開されました。「マーベル初の本格ミステリーサスペンス」という売り文句の通り、アメコミ映画としては新たな方向性を打ち出した作品になっています。

ただ、映画業界ではいま「スーパーヒーロー疲れ」ということがよく言われていて、数年前までは公開すれば大ヒットしていたアメコミ映画が、軒並みヒットしづらくなっているという状況になっています。

確かに、アメコミ映画は作品の本数が増え続けていて、追いかけるのが大変。劇場公開作だけでも膨大な数があるし、さらに配信サイトではドラマシリーズが何シーズン分もあったりする。

さらに複雑なのが、アメコミと映画業界についての権利関係で、これもある程度頭にいれておいたほうがいいんですね。

例えば『スパイダーマン』は、マーベルという出版社から出ているコミックが原作なので、映画化されると『マーベル・シネマティック・ユニバース』、通称MCUの世界に属しています。ただ、それとは別に『ソニーズ・スパイダーズ・ユニバース』、SSUというカテゴリーもあって、それの中心にスパイダーマンがいるんです。

MCUは、2008年に公開された『アイアンマン』から始まっています。しかし、スパイダーマンは、それ以前から実写映画化されていて、特に2002年公開のサム・ライミ監督、トビー・マグワイア主演の『スパイダーマン』は大ヒットしました。

スパイダーマンの映像化の権利はソニー・ピクチャーズが保有していて、その後も『アメイジング・スパイダーマン』シリーズなど、独自に作品を作り続けていたわけです。

この権利問題がネックとなり、MCUにスパイダーマンは関われなかったんですが、シリーズが盛り上がってくるとMCUにもスパイダーマン登場を待望する声が大きくなってくる。そこで会社同士で話をつけて、ついにMCUの『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』という映画で、トム・ホランドが演じるスパイダーマンが登場します。このMCU版スパイダーマンも大好評で、単独映画もシリーズ化されていったという流れなんです。

一方で、ソニーはソニーでスパイダーマンの世界観で繋がっている映画を作り続けていて、その作品群をSSUと呼んでいます。僕は、このSSUがけっこう好きで、ユニバースとしては後発なんだけど、ソニーは独自ブランドでやりたいんだな、わかるよ、と応援したい気持ちになっているんです。


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