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UPDATE|2024/02/28

有村昆が実体験から語る“自粛中”の方に観てほしい映画3選「本当に心に沁みた」

有村昆 撮影:松山勇樹

スキャンダルやトラブルにより、活動自粛に追い込まれてしまう…。そんな報道がたびたび世間を騒がせる昨今、かつて自身も自粛生活を経験したことがある映画評論家の有村昆が、実体験から導き出した「自粛中」に効く映画を3本ご紹介。家にいて、ただ何もしていなかったらメンタルがやられてしまうだけ。それならせめて、こんな映画を観てみるのはいかがでしょうか!?(前後編の前編)

【写真】有村昆が選んだ“自粛中”の方に観てほしい映画3選

改めて言うことでもないですが、僕もいろいろあって活動自粛したことがありまして、今回はその経験を踏まえて語らせてもらえればと思います。

一般的なご職業の方は、自粛や自宅謹慎することはなかなか無いと思いますが、仕事で失敗したとか、誰かを怒らせてしまったとか、どうしようもないトラブルに見舞われた時などに、落ち込んで家に引き籠もってしまうようなことはあると思うんです。

そんな時にオススメの映画を紹介したいんですけど、ハッキリ言ってしまうと、落ち込みすぎている時に映画を見ても中身が入ってこないんですよ。僕にもそういう時期はあって、その時は学生時代に聞いていたような懐メロの音楽をひたすら流して現実逃避していました。

そうして少しずつ心を落ち着けて、ちょっとだけでも余裕が出てきた時に映画を観始めたら、これが本当に沁みたんです。

そんな作品のなかから、まずはアダム・サンドラー主演の『もしも昨日が選べたら』をオススメしたいと思います。全米で大ヒットした、少し不思議なコメディ映画です。

アダム・サンドラーが演じるのは建築士のマイケル。妻と子供がふたりいるんですが、いつも仕事と家庭の板挟みでストレスを感じています。そんなときに、怪しげな男からリモコンを譲り受ける。このリモコンを使うと、DVDを操作するように現実の時間を早送りできるんです。

マイケルは日常で奥さんの話を聞いてる時間などをどんどん早送りして、その間に仕事をバリバリやっていく。ただ、このリモコンには学習機能がついていて、いちど早送りにした事は、自動でどんどんスキップしていってしまう。様々な時間が早送りされ、気づいたら、奥さんとの思い出が無い。子供の成長も見守る時間も早送りされ、いきなり大きくなってしまっている。俺はなんてことをしてしまったんだ…というお話です。

自粛している時というのは、あの時、ああすれば…という後悔ばかりが頭を巡ります。でも現実には、この映画に出てくるようなリモコンはありません。自粛時間を早送りすることも、あの時に巻き戻してやり直すこともできない。

でも、それが正解なんです。この映画で得られる教訓は、どんなに無駄と思える時間でも無駄ではなく、いま目の前にあることが大事、ということ。

僕の場合だと、自粛することで、子供と一緒の時間ができたんです。近所の公園に行ってブランコ乗ったりとか、それまで出来なかったことをたくさんやれた。

それまでの自分は、仕事が忙しいと言い訳して、おろそかになっていたことがたくさんありました。いろいろすっ飛ばしてきてしまったけど、その早送りした時間こそ大事だったんじゃないかと思わせてくれる作品です。


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