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UPDATE|2024/03/10

“悪女”怪演が話題の吉本実憂、役作りで驚き「こんなに救いようのない女の子がいるんだ」

吉本実憂 撮影:山田健史



──運動が得意だったんですね。人前に出るお仕事をしたいと考えるようになったきっかけはなんでしたか。

吉本 「全日本国民的美少女コンテスト」への応募がこのお仕事の始まりです。当時は、友達の前では明るく話せたんですが、大人の人と話すことがすごく苦手で、母の後ろに隠れていたりしてたんです。それで母が「こんなに人見知りだったらどんな仕事もできないんじゃないか」とコンテストに応募して、ありがたいことにグランプリをいただきました。

10代の頃には人の目を気にしすぎて、「小学生の頃は裸足で駆け回っていたな、木登りもしていたな」と思い出しては悲しくなっていた時期もあったんですが、「その頃に戻りたい」と考えるようになってから、表現の場ではなるべく自由でいられるように変わりました。

──普段、作品に参加する際に心掛けていることは何かありますか。

吉本 ルーティンになっているのは、演じる役の年表を作ることです。企画書や脚本には書かれていない、その役の人生があると思うので、表現のために穴を埋めるんです。自分自身が今まで生きてきたことって、人に話をすることもできるじゃないですか。だから、役を演じる時も自分がやるならそうでなくてはいけないと思っているんです。そのために、どこで生まれた、とか、この時期にこういうことがあった、とか、両親はこういう人で、恋愛はどれくらいしてきたか、というような設定を年表にするんです。

──役作りをしていく過程で、藍里に共感する部分はありましたか。

吉本 藍里を理解することは、なかなか難しかったです。どちらかというと、硝子のような、負の感情が生きる源になる気持ちは分かります。復讐を生き甲斐にするとまでは言いませんが、怒りや悲しみ、悔しさのような負の感情が活力になることはありますね。理不尽な思いをするようなことがあったら、物理的に復讐をするのではなく(笑)、「作品で返そう」と力に変えています。

──お仕事に対しての変化は感じますか。

吉本 覚悟はできていても「本当に役者人生をこのまま歩んでいけるのだろうか」という不安はもちろんありました。でも、いつも近くで支えてくださっている仲間と一緒に作品に携わるたびに「やっぱり大丈夫だ」とパワーが増すんです。以前お仕事をさせていただいた方にもう一度呼んでいただいたりする機会や、新しい出会いも増えたので、今は不安はほとんど無くなりました。私にとっては作品に携わり続けることが生きがいなので、楽しく活動できています。


吉本実憂
1996年12月28日生まれ、福岡県出身。全日本国民的美少女コンテスト グランプリ受賞し芸能界デビュー。2014年「獣医さん、事件ですよ」(NTV)でテレビドラマ初出演、同年12月には映画初出演で初主演作品となる映画「ゆめはるか」が公開される。その後ドラマ、映画を中心に活躍。映画「透子のセカイ」でフランス・ニース国際映画祭 最優秀外国映画主演女優賞を受賞し、映画「瞽女GOZE」では第30回日本映画批評家大賞 新人女優賞を受賞している。待機作品として、映画「室町無頼」(2025年1月17日公開予定)がある。

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AUTHOR

山田 健史


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