──『カムイのうた』は昨年11月より北海道で先行上映され、今年1月から全国上映が開始。吉田さんのもとにも感想や反響が届いているかと思います。吉田 北海道先行上映の初日に、舞台挨拶に回らせていただきました。北海道はこの作品の舞台ですし、アイヌの血筋の方も多く観に来てくださったので、私は「果たして認めてもらえるのだろうか」と不安でした。でもいざ上映後に登壇すると、皆さん涙を流してくださったり、挨拶の言葉にも真剣に耳を傾けてくださって。地元の方に認めていただけたのはとてもうれしかったです。東京での上映が始まってからは、私の友達も映画を観てくれました。
最近はアニメなどでアイヌ文化が広まりつつありますけど、実際にアイヌの方々が受けていたことについて、私の世代は知らない子が多いんです。その友達が「こんな歴史があったなんてびっくりした。映画を通して知れてよかった」と言ってくれたのもうれしかったですね。
──吉田さん自身もこの作品を通してアイヌ文化や歴史に触れ、考えたことも多いと思います。吉田 今作で共演した加藤雅也さんが、舞台挨拶で「この映画は当時の和人を悪く言っているわけでもないし、もちろんアイヌの方々を悪く言っているわけでもない。どちらにも正論があり、それがぶつかってしまっているだけなんだ」とおっしゃっていて、その通りだなと私も思いました。
当時の和人がアイヌの方々にしたことは許されることではないけれど、どちらも同じ人間なんだから、お互いに知ろうと努力したり歩み寄る気持ちを持っていればまた歴史は違っていたのかな、って。怖がらず、知ろうとすることが大切なんだとこの映画を通して私は感じました。
──改めて、『カムイのうた』はどんな作品になってほしいですか?吉田 まず私は、日本でこういうことがあったと知ってショックであり驚きました。きっと知らない方も多いと思うので、知っていただきたいという思いが大きいです。またこの作品がアイヌ民族の方にとって意味のあるものになればうれしいです。大ヒットしてほしいというよりは、長く広く、じっくり知っていただき愛してもらえる映画になったらいいなと思います。
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