「最初は完全にプロ転向するつもりだったんですけど、考えが甘かったですね。同じコンタクトスポーツとはいえ、テコンドーとは完全に別物でした。蹴り技ひとつ取っても、距離感や効かせ方がまったく違うなと。僕はテコンドーの海外遠征で作った借金もあったし、働きながら知らない競技に対応していくのは難しいかなと考えるようになったんです。
顔面パンチやスタミナ面の対応もあるし、MMAともなると組技や寝技も学ばなくちゃいけないわけですから」
そんな中で目に留まったのが、Breaking Downの存在だった。何よりも江畑にとって大きかったのは、試合時間が1分間というルール。ここならテコンドーの技術でアジャストできると考えたのである。
「テコンドーというのは足技を中心とした競技。他の打撃系格闘技との大きな違いは、圧倒的に疲れるということなんです。足だけでの攻撃って、手も使えるときの3倍体力を消費すると言われていますから。一般的にキックボクシングは3分3ラウンド、MMAだと5分3ラウンドや5ラウンドが多いですよね。
蹴りだけで3分とか5分攻撃し続けるのって絶対に持たないんですよ。でもこれが1分だけだったら、キックでずっと攻められる」
【後編はこちら】全日本12連覇・江畑秀範、BD参戦にテコンドー界から非難の声も「信念を持って恩返しを」