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UPDATE|2024/02/22

児童虐待、性加害、SNS…インド映画が訴える強烈な社会風刺、Netflix『バクシャク -犯罪の告発-』

Netflix『バクシャク -犯罪の告発-』



さらにキャスティングへの拘りも強く感じられる。プルキットの想いを反映させられるだけの演技派な役者たちが集められているのだ。

主演のブーミー・ペードネーカルは、コメディもシリアスな人間ドラマのどちらでも存在感を発揮する演技派女優として知られている。『Toilet - Ek Prem Katha』(2017)や『ドリーとキティ ~輝け人生!~』(2019)などを通して、自己主張の大切さを体現してきた。

一方、後半から登場するムナッワルプル初の女性警視正ジャスミート役サイー・タームハンカルは、もともとマラーティー語映画の女優として知られており2月に公開されたコメディ映画『Sridevi Prasanna』も高い評価を受けているが、近年は『MiMi』(2021)や『India Lockdown』(2022)などのヒンディー語映画にも多く出演しており、同じく演技派女優として注目されている。

このふたりの女優は、保守的な女性像ではなく、自立した強い女性像を体現することが多く、固定概念を打ち崩した女優として評価されている。今回のテーマにもうってつけではあるが、作品内だけでは完結できない問題を扱っていることもあり、そのもどかしさと同時に未来への希望をこのふたりの女優の演技に任されているようにも感じられた。

そのほかにも、舞台女優として活躍してきたタニシャ・メータにとって初の映画出演となったが、存在感のある演技をみせている。

そして新たな一面をみせたのは、サンジャイ・ミシュラーだ。サンジャイといえば、インドでは名バイプレイヤーとして知られ、『勇者は再び巡り会う』(2015)や『サーカス』(2022)などのローヒト・シェッティ監督作品でもお馴染みの俳優ではあるが、ローヒトの作品のなかではコメディリリーフとしての役割が多い。

しかしその一方で、近年は『Guthlee Ladoo』や短編の『Giddh: The Scavenger』のように歳を重ねた男の孤独感や過去への罪悪感などを表現するのが上手い俳優としても評価されており、今作においても主人公の良き理解者であり、コミカルさを完全に殺さない程度の渋さをみせており、改めて俳優として評価できる演技だったといえるだろう。

【ストーリー】
児童保護施設での女児虐待というおぞましい事件が隠蔽されていることを知った、地元の報道記者ヴァイシャリ。日の目を見ず苦労していた彼女は、執ように真相を追いはじめる…….。

【クレジット】
監督:プルキット
出演:ブーミー・ペードネーカル、サイー・タームハンカル、サンジャイ・ミシュラー、タニシャ・メータほか
2月9日よりNetflixで独占配信中

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