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UPDATE|2024/02/21

アカデミー賞最注目『哀れなるものたち』が男たちに突きつける“女性の自由”…衝撃作に有村昆が切り込む

『哀れなるものたち』



男性が女性を管理しようとする社会から解き放たれて、真の自立に繋がっていくという、フェミニズム的なテーマに焦点が当たっていきます。

そこで重要になってくるのが、ベラは無垢な人造人間ということなんです。メアリー・シェリーによる小説『フランケンシュタイン』は、いままで何度も映画化されていますが、最も有名なのは1931年に製作された、ボリス・カーロフが怪物を演じた『フランケンシュタイン』でしょう。

もう93年近く前の映画なんですが、この作品でも、生まれたばかりのフランケンシュタインの怪物が自我の芽生えに戸惑い、異形な存在として大衆から排除されるという展開があります。

さすがにいま観るとベタというか古典的で、もう何度もコスられまくったような表現がたくさん出てきますが、この原典を観ておくと、『哀れなるものたち』がより楽しめると思います。

他にも「人造人間映画」で括ると、ジョニー・デップが主演した『シザーハンズ』がありますよね。この作品にも、異形の存在の哀しみというテーマが入っています。大衆から奇異な目で観られて、やがて排除されるというのは、『キングコング』とか、『美女と野獣』にも出てくるような定番の展開です。

異形の存在との関係というテーマでいうと、ギレルモ・デル・トロ監督の『シェイプ・オブ・ウォーター』も添えてみたいですね。サリー・ホーキンスが演じる清掃員が、研究所にいた半魚人に恋をするという話なんですけど、あれは人魚姫伝説、ディズニーでいうところの『リトル・マーメイド』をひっくり返した設定ですね。

こうした異形もの映画に、男女差別や性搾取の問題を加えてアップデートしたものが『哀れなる者たち』といえるかもしれません。


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