FOLLOW US

UPDATE|2024/02/14

東出昌大、狩猟密着映画への思い「“残酷であること”に真正面から向き合うことが人間には必要」

撮影/武田敏将



東出 そうだなあ……宮地監督が語ったことと重複しますが、僕は“答え”のようなものを求めて自然の中に身を投じるため、山での生活を始めました。最近良いなと思ったのが、ギリシャの哲学者・エピクロスが本の中で、「あなた中に不安や恐怖があるとしたら、それはあなたが自然から離れすぎているから」ということを語っていて。

宮地 へぇ~~~!それは良い言葉だね。

東出 自然の中で生きる生物って、飯食ってクソして寝る、それで完結している。けれど、社会の中にいると、学歴や経歴、容姿や出自……と、数多くのしがらみに囲まれている。そうした様々なしがらみに悩んだり疲れてしまった人に、飯食ってクソして寝る……そうした「自然とは?生きることは?」を再確認するための入り口になってくれたらいいかなとは思います。

宮地 うん、生きることが複雑化しすぎていると思う。

東出 もしかしたら映画を観て「残酷だ」、「グロい」という反応が来るかもしれません。確かに僕は残酷だと思うんです、生き物を殺して食すことは。ただその“残酷であること”について真正面から向き合い考えることが、人間には必要だとも僕は思っていて……もちろん露悪的な意味での「グロ」ではありません。今の世の中、あまりに何事も「安心安全・キレイ」であろうとしすぎかと思います。そこで「残酷」で「グロい」という感情が、「生きること・死ぬこと」を深く考えるキッカケになる気がしているんです。その一端がもしかしたらこの映画で得られるのかな……って。

【前編はこちら】東出昌大の狩猟を映像作家・エリザベス宮地が密着「積雪で凍傷…文字通りの命懸けの撮影」
AUTHOR

田口 俊輔


RECOMMENDED おすすめの記事