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UPDATE|2023/12/21

アイドルがなぜ蛍光灯デスマッチに? アプガ(プ)乃蒼ヒカリ「いかに傷を作って帰るかが勝負」

アップアップガールズ(プロレス)乃蒼ヒカリ



デスマッチをやりたい、という相手がいなければ試合は成立しないので、そのあたりは悩ましいところだが……この日の激闘の代償として、背中には大きな傷が残った。自分からは見えない場所なので、乃蒼ヒカリはどれだけ深い傷なのかは見えない。普通の女の子なら、いや女子プロレスラーであっても、それはとんでもない恐怖のはずだが、乃蒼ヒカリは「デスマッチのリングに上がるってことは、いかに傷を作って帰ってくるかが勝負だと思っていたので気にならなかった」と乃蒼ヒカリは笑顔で答える。

「ただ、傷口をすぐに綺麗にしないと感染症の危険性がある、というので(タッグパートナーの)角田奈穂さんにシャワーで洗ってもらいました。25歳になって、はじめて人に背中を流してもらいましたよ(笑)。その傷や血を見て、奈穂さんは悲鳴をあげていました」

その角田奈穂とのタッグチーム「ふりーWiFi」で10月にTOKYOプリンセスタッグ王座を獲得。間違いなく乃蒼ヒカリは蛍光灯デスマッチを経験したことでリングの上でなんともいえない色気というか闘うものにしか出せない妖艶さを醸し出すようになった。命がけの闘いから生還する、というのはきっとこういうことなのだ。まさにプロレスラーとしては充実しまくりの2023年だったが、彼女には大きな課題が年末に残ってしまっている。

それはアイドル活動、だ。

プロレスラーになりたくて加入した乃蒼ヒカリは、アイドルの知識がまったくなかった。その苦手意識はいまだに残っているという。

「プロレスのほうがアイドルより疲れるでしょ?ってよく聴かれるんですけど、私の場合、逆ですね。アイドルとして歌って踊るほうが疲れる。その疲れ方もまったくの別物なんですよ。全力でパフォーマンスをするから、もちろん体力は消耗するんですけど、私が振りを間違えたら、みんなに迷惑がかかると思っているから、常にステージでは気を張っているんですよ(苦笑)。変な緊張感で疲れちゃいますね」

ただ、そんなことを言ってはいられなくなった。12月23日(土)に3回目となる単独ライブ「私達ってめっちゃ尊いな!」がなんと横浜アリーナ……の真横にあるライブハウス・新横浜NEW SIDE BEACH!!にて開催されることが決定したのだ。

6月に新宿FACEで開催された単独ライブではステージのほかにリングも組まれ、プロレスとライブを交互におこなうという彼女たちならではの構成だった。普段も東京女子プロレスのリングで「歌のコーナー」としてミニライブをおこなっている。プロレスの要素を排除して、純然たるアイドルとしてステージで勝負をかける、というのは彼女たちにとってデスマッチ並みのハードルの高さなのである。

AUTHOR

小島 和宏


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