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UPDATE|2023/11/22

【本人直撃】「負けたら1千万円払う」ごぼうの党・奥野卓志、Breaking Down出場の勝算

撮影/西邑泰和


 オーディション当日のバンは、自身の引退試合の相手としてふさわしいのは誰なのか、会場で探っていた。初対面の新参者の踏み台に甘んじる気はない。相応の相手と拳を交えたい──。そこで目をつけたのが確固たる数字を持っていて、世の中に対して熱いメッセージを発する異色の政治家だった。一方の奥野の「負けたら1000万円を払う」というのは引退をかけた相手に対する自分の気持ちの表現の仕方だった。

だが、ここでひとつ疑問が残る。そもそもなぜ既に経済的に成功している奥野がBreaking Downに出場し続けるのか。その疑問をぶつけると、ごぼうの党・奥野卓志代表としてのこんな答えが返ってきた。

「日本というのは不思議な国で、選挙権を持っている人が1億人くらいいるのに、実際は5000万人程度しか選挙に行かないんですね。残りの5000万人は政治に参加すらしていない。

 じゃあ具体的に誰が参加していないかというと、それこそヤンチャな子たちや、夜の街と言われる水商売や風俗店で働く子達、ニート、ひきこもりや非正規雇用。まさにBreaking Downを観ている層ですよね。Breaking Downの爆発的な再生数を換算すれば、視聴率15%の地上波テレビ番組に出演するのと同じくらいの影響力になります。しかも選挙に行かない15%が観ているわけですから」

 選挙の戦術的な観点からいえば、投票に行かない無関心層は最初から切り捨てるのが王道。しかし、奥野の考えは違う。政治の話題になったらテレビのチャンネルを切り替える若者たちを振り向かせたいと思っているのだという。

「本当のことを言うと私も政治家になりたいわけではないんです。自由人なので、朝から晩まで国会議事堂に拘束されたくない。でも、2684年続いた世界一素晴らしい日本という国が、今、最大の危機を迎えつつある。本当にあと1~2年が勝負なんですよ。

ただ、離れたところから上から目線で言っている人間なんて信用できないですよね。だから怪我したとしても、みんなと一緒になって共感を得るのが大事だと思っているんです。一生懸命に動いていたら心に響くと信じていているんです」

日本の教育とBreaking Downについての持論も語ってくれた。

「私は、偏差値教育なんてまったく意味が無いと思っています。日本の学校の教育は数字によるレッテル貼りです。最悪なのは、自分自身が落ちこぼれなんだと信じてしまう。無限の可能性に蓋をするのが今の日本の教育です。

 ではBreaking Downはどうか? 出場している子達にとっては、あの場が初めての受験だし、初めての面接だし、ピアノの発表会なんです。独特の雰囲気の中で多くのカメラに晒されて、舞台裏では実は緊張しているんです。控室では『眠れませんでした』と言ってる子が居たり、緊張を誤魔化すため、お酒をかっくらってきたり。彼らにとって一世一代の大舞台なんです」
AUTHOR

小野田 衛


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