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UPDATE|2023/09/08

しごきや鉄拳制裁は? 永田裕志が解説、昭和と令和でこんなにも違う「道場内での練習論」

撮影/松山勇樹


 プロレスラーは超人でなくてはいけない。一般的な価値観からすると異常とも感じるハードな練習を乗り越えてこそ、一人前になれるという考えは根強かった。そのため、道場では先輩やコーチから鉄拳制裁が飛び交うのが日常光景だったのである。

「暴力やしごきがいいとは決して思いません。だけど多少の叱咤激励はむしろありがたかったですよ。そのときは殴ってきた先輩やコーチに対して『この野郎!』と思うんだけど、『今に見てろよ』という気持ちが自分を奮い立たせる面は確実にありますから。何年か経つと、それが感謝の気持ちに変わるんです。

 たとえば亡くなった山本小鉄さんは道場の鬼コーチとして有名ですが、関わった人たちは全員が感謝していますよね。一方でいまだに複数の選手から恨まれているような人もいます。その差は何かというと、結局、愛ですよ。本当にその若手のことを真剣に考えて怒っているのか? それとも単に自分が若手のときに嫌な思いをしたから、それと同じことを繰り返しているだけなのか?」

 ここまで一気に語ると、永田は「それでも、昔に比べて今の若手が楽ということは決してない」と言葉に力を込めた。むしろ今のほうが競争はシビアになっているというのだ。

「今はスパルタ指導こそない代わりに、自分で練習メニューや食事の内容を考えなくてはいけない。他人から強要されないぶん、夜、こっそり1人でトレーニングしたりしていますからね。ガッツも体力もないとレスラーとして生き残れないのは、どの国だって、いつの時代だって同じこと。入門から1年経って何の成長も見られないようなら、肩叩きに遭うでしょう。だから今のヤングライオンだって奥歯を喰いしばるような経験を絶対しているし、ギラギラした想いを抱えているはずなんです」

 昔は試合前のリングで若手がスパーリング練習を公開することもあったが、今はそうした機会もほとんどなくなった。普段は表に出ない選手の練習風景を想像することで、プロレス観戦をさらにディープに楽しむことができるかもしれない。

▼大会告知
永田選手プロデュース興行『永田裕志 Produce Blue Justice XIII ~青義祭会~』
日時:2023年9月10日(日) 14:30開場 16:00開始
会場:千葉・東金アリーナ 
対戦カードとチケット情報は公式HPをチェック!(https://www.njpw.co.jp/tornament/433024)

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AUTHOR

小野田 衛


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