FOLLOW US

UPDATE|2023/07/18

モー娘。小田さくら、加入時との変化「ライブ中に母が見えると複雑な感情になっていた」

小田さくら 撮影/田中健児



──誌面になったものをご覧になって、改めて気づかされたことはありますか?

小田 私は猫に対して、全肯定的ではないんだなと。好きだけど、害獣だとも思っているし、弱い動物を捕食しているのを見ると猫が悪いと思うので、猫バカになりきってない猫バカなんです。地球に猫は多すぎるし、でもそういう状況になってしまったのは人が悪いから、人がなんとかしようねと思っていますね。

一方で私は本当に猫ファーストで、幸せにできないなら猫に関わらないでくれと思っているんだなというのをすごく感じました。でも誰も猫と話せるわけではないから、例えば私だったら猫をケージに入れないで飼ってほしいけど、本当にケージの中がイヤかはわからない。だからあくまで私の考えとして、精一杯自由にしてあげてほしいということを伝えたいんだなと思いましたね。あとは猫のことを喋ると「アイドル小田さくら」ではない部分が露出するなと感じました。

──それはどういうところで感じましたか?

小田 ちっちゃいときの話とかですね。私は普段の自分とアイドルである自分を切り離したいタイプで、プライベートの自分があんまり理想的じゃなくって隠し気味だったんです。だけど猫のことを話すとどうしてもそっちに派生していって、これまで話さなかったモーニング娘。以前の私のことをいっぱい話せたかなと思います。

──プライベートとステージでの自分を切り離したいという考え方は、デビュー当時からですか?

小田 勝手にそうなっていったと思います。特に加入当初は思春期だったので、母に対して反抗心があったんです。だからこそ、ステージ上では理想的な自分でいようとしていた。ライブ中に母が見えたときなんて、もうとんでもない感情になっていたんですよ(笑)。「今の自分は誰なんだ」「こんなことしてる姿、絶対に母に見られたくない」と思ったり、でも見に来てくれているのはありがたいし、だけどお母さんという存在を思い出しただけでもうすべての集中力がなくなったり……。でもイヤなことや落ち込んでいることをステージに持ち込むのはめちゃめちゃ嫌いで。それなら「じゃあ出るなよ、帰ればいいじゃん」と自分に思っていましたね。

──デビュー当初から落ち着いた印象があったので、小田さんにそういった葛藤があったのは意外です。

小田 それをいかに外に見せないかだと思っていたんで、よくできていたんだと思います(笑)。でも気に入らないものは、自分に対してでもはっきり気に入らなかったんです。

──それは自分以外の方に対してもそうなんですか?

小田 他人に対してはあんまりないけど、ステージではありますね。イヤなことがあって、泣いた顔のままステージに立っていた先輩メンバーに「ステージには泣き止んでから出てほしい。泣くなら出てほしくない」と伝えたことがありました。そのときは視野が狭かったから、ファンの人はお金と時間をかけて見に来ているのに、泣き顔を見せて心配させるなんてと思っていたんですよね。

今はそういう人間らしさやメンバーの葛藤を見られて嬉しいファンの方もいるとわかった上で、落ち込んでいるメンバーにはステージに立つ前に改めて「ステージだよ」「笑って」と声をかけたりはしています。でもそれは受け入れてくれなくてもいいんです。ステージに対するこだわりは全員にあって、ぶつかり合うことは悪いことじゃないから、私は思ったことを言うし、向こうも何を言ってくれてもいいしと思っています。

(取材・文/東海林その子)

▽小田さくら(おだ・さくら)
1999年3月12日生まれ、神奈川県出身。A型。モーニング娘。11期メンバーとして加入、グループきっての歌姫として活躍している。

▼『さくらと猫』(KADOKAWA)
・Amazon(www.amazon.co.jp/dp/404897601X
・カドスト/ポストカード特典付(https://store.kadokawa.co.jp/shop/g/g322303000813/
CREDIT

取材・文/東海林その子 撮影/田中健児


RECOMMENDED おすすめの記事