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UPDATE|2023/06/03

“元2時間ドラマの帝王”役でドラマ主演、船越英一郎「主人公は似て非なる双子のような存在」

撮影/河野優太

“2時間ドラマの帝王”・船越英一郎が6月3日にスタートする土ドラ『テイオーの長い休日』で主演を務める。演じるのは元2時間サスペンスの帝王で現在は仕事に恵まれない俳優・熱護大五郎という、まるで自身をパロディ化したような役柄。熱護とは対照的に、常に第一線で活躍する船越に、2時間ドラマの魅力について話を聞いた。

【写真】ドラマで“2時間ドラマの帝王”役に、『テイオーの長い休日』場面カット【8点】

船越が演じるのは、ドラマ出演300作を超えるものの、テレビ局が2時間ドラマ制作から撤退したため、1年以上仕事がない俳優・熱護大五郎。自身と共通する部分も多いが、そのキャラクターは正反対だという。

「“元2時間ドラマの帝王ということで、これは僕のことなんだろうと思うかもしれませんが、熱護大五郎と船越英一郎は、性格的には対極にいる人間です。熱護は人情に厚く、涙もろく、俳優という仕事を愛してやまない。一言で言えばいい奴だとは思うんですが、あまりにも俳優としての矜持にとらわれ過ぎている。あるいは自分の中でルールを構築し過ぎて、自分に手かせ足かせをたくさん課して、自分の中の檻に閉じこもっちゃってるような男です。今風に言えば、コミュ障的なところがあって、オープンマインドで人と接するのが苦手。

対照的に僕自身はものすごくオープンマインドで、いろんな方たちと会話を楽しんで、なるべく明るい環境を作るタイプ。『僕もおなかを見せるから、どうぞ皆さんも僕の前ではおなかを見せましょう』というお付き合いを理想としています。そんな中から、いろんな信頼感も生まれていくと思っているんです。熱護はそうはいきませんからね。

自分ではない誰かを演じるという衣を1枚着てないと、人と相対することができない。言ってしまえば役者の権化みたいな男なのかもしれませんけど、そこが僕と似て非なるところです。同じ親から生まれたんですけど、育ての親が違う、育った環境も違う、そんな双子のような存在が僕と熱護なのかなというふうに思っております。二人の虚々実々を楽しんでご覧になっていただけるとうれしいですね」

熱護が2時間ドラマの主人公に扮して、事件を解決する場面があるなど、俳優・船越英一郎を彷彿とさせる設定が幾つも用意されている。

「これは制作者の意図でしょうけど、熱護が演じる幾つかの役は、船越英一郎が過去に演じた役とほぼほぼ似てるんです。たとえば初回で熱護は火災調査官を演じますが、これは僕が実際に演じた『火災調査官・紅蓮次郎』シリーズがモチーフになっています。ただ今回、僕が演じるのは熱護の演じる火災調査官な訳で、俳優としてものすごくハイカロリーなことを強いられるんです。

なぜなら一人で2役を演じ分けなきゃいけないですし、多い回では4役やらなきゃいけない。僕は今年7月で63歳になるんですけれども、皆さんが、いろんなことを船越英一郎に期待して新しい面を引き出そうとしてくれる。大変なことではありますけど、この年齢になっても新しい挑戦ができることはありがたいですし、何て素敵な仕事なんだろうと痛感します」
AUTHOR

猪口 貴裕


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