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UPDATE|2023/06/03

帝王・船越英一郎に聞く2時間サスペンスドラマ「なぜ崖が多い? 崖での撮影に恐怖心はない?」

撮影/河野優太

“2時間ドラマの帝王”・船越英一郎が6月3日にスタートする土ドラ『テイオーの長い休日』で主演を務める。演じるのは元2時間サスペンスの帝王で現在は仕事に恵まれない俳優・熱護大五郎という、まるで自身をパロディ化したような役柄。熱護とは対照的に、常に第一線で活躍する船越に、2時間ドラマの魅力について話を聞いた。

【写真】ドラマで“2時間ドラマの帝王”役に、『テイオーの長い休日』場面カット【8点】

初めて2時間ドラマに出演したのは『火曜サスペンス劇場』(日本テレビ系)の『歯止め』で、1983年4月5日に放映。松本清張原作の短編小説が原作で、長山藍子演じる主人公・津留江利子の息子役を演じた。

「『火曜サスペンス劇場』が誕生したのが1981年ですから、2時間ドラマの黎明期と言っていい時代。撮影現場は映画そのもので、出目昌伸さんという元東宝の監督がお撮りになって、撮影日数は1ヶ月近くと、今よりもずっと贅沢な時間の使い方をしていました。ビデオではなくフィルム撮りで、映画との違いはフィルムが35ミリではなく16ミリというぐらいで、打ち上げも大層豪華でした。松本清張さんの原作は特別感があったというのもありますが、当時の2時間ドラマは一作ごとに大作感がありましたね」

2時間ドラマの先駆けである『土曜ワイド劇場』(テレビ朝日系)、『火曜サスペンス劇場』の視聴率が好調なことから、この流れに他局も追随した。

「それまで『土曜ワイド劇場』と『火サス』ぐらいしかなかったのに、数年で飽和状態を迎えるぐらい各局が2時間ドラマを作るようになりましたし、全盛期は時代劇スペシャルなどを入れると週10本くらいあったんじゃないですか。それが月日と共にゴソッとなくなって、映像文化の大変な損失であることは間違いありません。全ての映像表現を凝縮したものが2時間ドラマだと思いますし、僕は日本が生んだ世界に誇る文化だと思っています」

これまで2時間ドラマで数多くの主演シリーズをヒットさせてきたが、単独主演を務めたのは2003年1月25日に『土曜ワイド劇場』内で放映された『火災調査官・紅蓮次郎』の第1作目と意外に遅かった。

「20代の頃からバディものの相手役をやっていましたので、今風に言えばW主演の作品はたくさんありました。だから、『2時間ドラマの単独主演は40歳を過ぎてからです』と言うと、皆さん驚かれます。2時間ドラマは女優さんが主役の作品が多かったですから、わりと遅かったんですよね。

自分のメインフィールドだと思ってやってきた2時間ドラマで、初めて1人で作品を背負うことは感慨深かったですが、プレッシャーはありませんでした。おかげさまで『火災調査官・紅蓮次郎』は1作目から視聴率が20%を超えましたので、ずいぶん大きく報道していただいて。それをきっかけに、次の年には各局の2時間ドラマの主演を制覇させていただいて、あっという間の出来事でした」
AUTHOR

猪口 貴裕


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