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UPDATE|2023/05/10

SKE48青木詩織のレフェリーにプロレスファン拍手、荒井優希とプロレスが生んだ化学変化

(C)東京女子プロレス

4月15日に行われた東京女子プロレスの後楽園ホール大会で、SKE48の青木詩織が、メンバー兼レスラーとして活躍する荒井優希の試合のレフェリーを務め、レフェリーデビューを果たした。さらに解説席には谷真理佳の姿が…。アイドルとプロレスが生んだ思わぬ化学変化を、元週刊プロレス記者の小島和宏がレポートする(前後編の前編)。

【写真】レフェリーデビューを果たした青木詩織とレスラー荒井優希【40点】

SKE48の荒井優希が東京女子プロレスのリングに参戦するようになって、もうすぐ2年が経とうとしている。

いまでは彼女がリングに立っていることが、すっかり当たり前の風景になった。これはプロレスラーとしては、とてもいいことではあるが、アイドル兼プロレスラーとしては、ちょっともったいないかな、とも思う。もっとも常にセンセーショナルな話題ばかりを求めるのも酷な話。これがデビュー2周年を迎える直前の絶妙なバランスなのかもしれない。

ただ、ちょっと面白い現象も起きている。荒井優希とプロレスが生んだ化学変化が、SKE48内部にいい形で波及しはじめているのだ。

4.15後楽園ホール大会では、SKE48の青木詩織がリングデビュー。といってもプロレスラーになったわけではない。レフェリーとしてデビューして荒井優希の試合を裁く、というお話である。

特段、スペシャルなことでないように捉えていたが、試合前からネットニュースでは話題に。当日、後楽園ホールでは彼女の愛称である「おしりん」と書かれたプラカードを手にしたファンを目撃。レフェリーを応援? かつてプロレス会場で「ジョー樋口」と書かれたプラカードを試合中に掲げる光景があっただろうか? 客を呼べるレフェリー、まさに前代未聞である。

ただ彼女はプロレスに詳しいわけでもなく、レフェリー修行も前日に公開特訓をおこなったのみ。つまりはまったくの素人。下手をすると試合をぶち壊しかねない。

いきなり試合開始のゴングを要求するアクションを忘れるケアレスミス(その間にスリーカウントが入ったが、これは無効に)。大丈夫? という空気が流れるが、とにかく青木詩織が一生懸命、レフェリングしようという姿勢が伝わってくるから、観客は「レフェリー、がんばれ!」という目線になっていく。この感覚、なかなか面白かった。

試合後、荒井優希が「とにかく所作が綺麗だった」と評したが、まさにそこに尽きる。日々の劇場公演で培った技術なのか、とにかくひとつひとつの動きがしなやかで美しい。だから、試合の邪魔にならない。これはレフェリーの資質として、かなり優れたものを持っている。

ひとつひとつ丁寧にやるので、思わね展開も。カウント2で止まった場合、本部席と客席に「2です」と報告する。これは非常に正しいのだが、きっちりとやりすぎて、試合は次の展開になっており、フォールの体勢に入っていることに気づかないシーンもチラホラ。これには客席も「志村、うしろ、うしろ!」とばかりに注意する。声出しがOKとなったからこその光景だ。

そして真面目ゆえに反則に厳しい。プロレスではカウント4までなら反則が認められている。そのあたりは見る側もどこかアバウトになっているのだが、青木詩織は高速でカウントを数え、細かい反則行為を繰り返すハイパーミサヲに対して「次にやったら反則負けにしますよ!」と警告。まるで風紀委員のような立ち居振舞いに客席は沸いた。

AUTHOR

小島 和宏


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