FOLLOW US

UPDATE|2023/03/02

武藤敬司引退の夜・90年代プロレスの最終回と令和女子プロレスの夜明け、伊藤麻希が空気を変えた

(C)東京女子プロレス

武藤敬司の引退大会「KEIJI MUTO GRAND FINAL PRO―WRESTLING “LAST” LOVE~HOLDOUT~が2月21日に東京ドームで開催された。ダークマッチの2試合目には東京女子プロレスが登場し、引退興行に華を添えた。そんな歴史に刻まれた1日を、元週刊プロレスの記者、小島和宏はどう見たのか? 前後編にわたり、レポートする(前後編の前編)。

【写真】「馳浩を超えた!?」とSNS騒然、渡辺未詩の豪快なジャイアントスイング【54点】

『日本プロレス史上最大の夜』と銘打たれたプロレスリング・ノアの2.21東京ドーム大会。メインイベントは武藤敬司の引退試合。史上最大の夜の看板に偽りはなく、夢のような闘い模様がリング上で展開された。

ずっとプロレスを好きでいてよかったな、とちょっと誇らしげな気持ちになれたし、90年代のドームプロレス黄金時代、すなわち武藤敬司の最盛期をリアルタイムで体感できたことに感謝し、なによりも最大の夜を東京ドームで味わえたことに感涙。平成が終わった、とまでは言わないけれど、間違いなく90年代プロレスの『最終回』がそこでは展開されていた。

でも、すべてが終わってしまっては困るのである。

武藤敬司のラストファイトを見るために、東京ドームにはかつてプロレスに熱狂していたファンがたくさん戻ってきてくれた。そのお客さんたちに『またプロレスを見てみようかな』と思わせ、令和に新たな黄金時代を築くきっかけを作ることが、この日、出場した選手たちに課せられたミッションでもある。

そんな中で僕が期待していたのが東京女子プロレスだった。90年代に女子プロレスブームが巻きおこったが、この日、戻ってきてくれたファン層はおそらく、それ以降の女子プロレスを見てきていない。新しい『令和の女子プロレス』を見せつけ、強烈にアピールする格好のチャンスだ。

新しい、というのは試合のスタイルだけを指すのではない。対戦カードは8人タッグマッチ。坂崎ユカ、山下実優、中島翔子、辰巳リカという団体の礎を作ってきた歴代のチャンピオンたちがチームを作ったのだが、反対側のコーナーに立つ4人にはある共通項があった。

それは『全員がアイドル経験者』ということ、である。過去の女子プロレスブームではあり得なかった現象だ。

もはや説明するまでもないだろうが、荒井優希は現役のSKE48メンバー。超メジャーアイドルグループのメンバーだけに彼女が動けば、すぐにネットニュースになる。話題先行と思われがちだが、昨年は赤井沙希と組んでタッグ王座を獲得。3.18有明コロシアムではアジャコングとの注目の一騎討ちが控えている。もはや立派なプロレスラーだ。

その有明コロシアムでシングル王座に挑戦する瑞希はアイドルレスラー育成プロジェクトの出身。

AUTHOR

小島 和宏


RECOMMENDED おすすめの記事