SKE48のメンバーとしてステージに立ちながら、レスラーとしてリングに立つ“二刀流” 荒井優希が、5月5日、後楽園ホールでプロレスデビュー2周年を迎える。そんな彼女のレスラーとしての覚醒の片鱗が見えたのが、3月18日に行われたアジャコングとの一騎討ち。元週刊プロレス記者の小島和宏が、荒井優希の「本格派」への道をレポートする。
【前編はこちら】SKE48青木詩織のレフェリーにプロレスファン拍手、荒井優希とプロレスが生んだ化学変化【写真】荒井優希とアジャコングとの一騎討ち【38点】ちょっと時間は経ってしまったが、3月18日に有明コロシアムにて東京女子プロレス 春のビッグイベント『GRAND PRINCESS‘23』が開催された。
目玉は3大タイトルマッチだが、それと並ぶスペシャルシングルマッチとして組まれたのが荒井優希とアジャコングの一騎討ちだった。
現役アイドルとレジェンドレスラーの激突。おそらくアジャは現役女子プロレスラーでもっとも知名度が高い存在だ。昭和のクラッシュギャルズブームも、平成の対抗戦ブームも体感してきた貴重な生き字引でもある。
「もう37年もプロレスをやってきたけど、まだプロレスの正解がわからない。きっと正解なんてないんだろうね。私の方が強いとか私の方がすごいことをやっている、なんてアピールするのはナンセンスでしょ? それはお客さまが決めることだから。
ただね、プロレスには正解がないかもしれないけど、プロには正解があるんですよ。それはたくさんのお客さまを集めること。だから、こうやって有明コロシアムでビッグマッチを開催できる東京女子プロレスのやっていることは正解なんだよ」
20数年ぶりに有明コロシアムにやってきたというアジャは、試合前、だだっぴろいバックステージでそう語ってくれた。客席からは見えない、こういう広い空間にもありがたみを感じる。昭和、平成を経て、令和の時代にも巻き起ころうとしている新たな女子プロレスブームの気配を、当然、アジャは敏感に察知していた。
その大舞台で組まれた荒井優希とのシングルマッチ。昭和の感覚だとスタジオに乱入してきたダンプ松本に怯えて泣き叫ぶおニャン子クラブの図式を想起してしまう組み合わせだが、令和の世にそんなお約束は通じない。