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UPDATE|2023/03/25

シングルマザー・青木さやかが娘との日々を赤裸々に綴る「一番、書きたくないことを書いた」

青木さやか 撮影/西邑泰和



「私の育ったうちはとにかく世間体が一番大事な家だったんです。例えば、成績がいい、家族の仲がいいとか。外からどう見られるか。それがあったから、私は自分の子どもに対しても、周囲に対しても、逆にさらけ出すことを意識しているかもしれません。最初はもちろん勇気がいりましたけど、周りの大事な人たちが離れていくこともなかったので、どんどん自分を出せるようになっていったし、なにより、その方が楽だったんですよね。欠点を見せた方が人と付き合いやすいですしね。

その感覚で、子育ても自分が難しいと思うところは周りの人たちにすごく助けてもらいました。いろんな方の考え方、たくさんの大人たちの影響を娘は受けている感じがします。育てる、という意味ではもちろんご飯も作るし、経済的にも担っていますけど、考え方という部分に関しては、周りのいろいろな方々の手を借りている気がします」

青木は、娘が2歳のときに離婚。本書では、パニック症を患うなど心身ともに大変だった当時の思いにもまっすぐに向き合った。

「そのころのことを思い出して書いていくのは、精神的につらい作業でしたね。書くことで、あ、このことは自分の中でまだ解決できていないんだな、と気づくこともあって。書く、というのは私にとって特別な作業だと思いました。書きづらいところは、自分にとって課題や問題点があるところなんだなって」

書きにくい話題は避けるという選択肢もあったが、青木は「そうなると面白くないじゃないですか」と笑う。

「自分がすごくふわふわした人間に見えちゃうし、そういったところを書かないと誰にも届かないのかなと。だから、いつも一番、書きたくないことを書くようにしています。書いたものを読み返してチェックするとき、私が書いてなかったらどうかな、と読者になって読む作業をするんですけど、そのくらいの重さがないと面白くないなと思っちゃう。」

離婚前後のことや娘との言い合いは「決してカッコいいものじゃないから、正直出したくはなかったですけどね」ともいう。

「でも、出したくない、書きたくないと思う、そういう気持ちを紐解いていけば、自分の感情を理解できるんですよね。そうすれば、たとえばどうして娘とケンカになったのかが分かるし、それがわかれば次はもっと感情をコントロールできるようになるのかなと。私のケースを読んでもらって、『そういう人もいるんだ。じゃあ自分はどうだろう』と自分の行動や感情の理由を考えるきっかけにもなるのかなと感じています」

取材・文/吉田光枝

【後編はこちら】青木さやかが語る子育て、そして母との関係「離婚をしてワンオペで育児をして生活、倒れたことも」

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