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UPDATE|2023/03/14

パイロットから町工場へ『舞いあがれ!』制作統括に聞く、舞の夢が変わった理由

連続テレビ小説『舞いあがれ!』より NHK提供



そしてヒロイン・舞の“紆余曲折”の理由のひとつになったのが、リーマンショックだ。2008年に起こった世界的な金融危機は、一般庶民にも大きな影響を与えた。内定の取り消しや中小企業の相次ぐ倒産など、記憶に刻まれている視聴者も多いだろう。

ドラマの中でも、ヒロインの舞は内定を得ていた航空会社への入社が1年延期になり、さらに工場を拡大したばかりの「IWAKURA」も経営難にあえぐことになる。誰しも鮮明に覚えている、いわば“辛い記憶”。それを、作中ではかなりリアルに描いているといっていい。そこにはどのような狙いがあったのだろうか。

「こういう皆さんの記憶にもあるできごとを、大事に描く、リアルに描くというのは現代劇をやることの意味だと思っています。視聴者の皆さんが体験していることだからこそ、緩いことはできません。ヒロインの半生を描く中で、町工場の家族にいちばんダイレクトに大きな影響を与えたのは、やっぱりリーマンショックなんですよね。

多くの方が実際にそうであったように、生活を含めて人生がまったく変わってしまう。それをしっかり描くことで、ドラマのテーマでもある向かい風を受けて舞いあがる、立ち上がっていくためにどうするのか。物語の根幹のテーマと直結しているんです。だからこそ、かなり辛い、シビアなシーンもありましたが、そこを含めてていねいにリアリティを持って描くことが必要だと考えました」

いまを生きている多くの視聴者も、リーマンショックなど自らの力ではどうすることもできない事態に翻弄されてきた。それを受けて、どうまた立ち上がって未来に進むのか。そこに、『舞いあがれ!』のいちばんの見どころが詰まっているのだ。

【あわせて読む】『舞いあがれ!』チーフプロデューサーに聞く、福原遥ヒロインオーディションの裏側

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