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UPDATE|2022/11/08

チーフプロデューサーが語る、朝ドラ『舞いあがれ!』が90年代からスタートした理由

『舞いあがれ!』でヒロインの母役を演じる永作博美(NHK提供)

10月からスタートした朝ドラ『舞いあがれ!』。空と飛行機に憧れを抱くヒロイン・岩倉舞を福原遥さんが演じる107作目の連続テレビ小説。東大阪と五島列島を舞台に、夢に向かうヒロインの成長を描く。そしてこの作品の時代設定は、1990年代から現在まで。主人公は1986年生まれだ。全編にわたって現代(昭和末から現在)が背景になるのは、2018年に放送された『半分、青い。』以来のことだ。なぜ、この時代背景を選んだのだろうか。

【写真】『舞いあがれ!』町工場で働く永作博美と高橋克典【5点】

「90年代って、そのちょっと前の景気が良かった時代からだんだんしんどい状況に変わっていく時代なんですよね。移り変わっていった90年代。で、主人公が町工場に育ったということもあって、町工場の経営がなかなか大変になっていく、という」

こう話すのは、『舞いあがれ!』の制作統括・熊野律時チーフプロデューサー。実際、第3週では父・岩倉浩太の経営する町工場が時代の変わり目にあって苦境に立たされるストーリーが展開される。90年代前半は、バブル崩壊直後である。

「時代背景は、町工場の人たちの暮らしにも影響を与えています。特に良かった時代から厳しい時代になって、その影響を大きく受けたのが町工場です。加えて、それからさらに現代に至るまでいろんなことが起きてくる。あの頃、あんなことがあったよね、と共感を持って時代状況を考えていただけるのかなと考えて、90年代以降にしました」

多くの人が生きてきた90年代以降。バブル崩壊以後、阪神淡路大震災や地下鉄サリン事件などが続き、不況は長引き00年代に入っても911テロやリーマンショック、東日本大震災、そしてコロナ。そうしたさまざまな出来事の影響を受けながら生きてきた。

「このドラマのテーマに、向かい風を受けてそれを力にして舞いあがる、というものがあります。ヒロインの舞ちゃんが大変な時期でも踏ん張って進んでいくというのを描いていく中で、ここ30年くらいというのを設定するのは、だからこそ意味があるのかなと思っています。昔話というよりは、ご覧になっている方が30年の間に感じてきた喜びとか、大変だったこととかを身近なものとしてイメージしていただけるドラマにしたいと思ったんです」

第1週から第3週までは1994年、そして第4週になってヒロインの舞が大学生に進学すると、一気に2000年代へ。その間にあったできごとやこれから起こるいろいろなことが、どのようにドラマの中に登場するのか、そして舞たちの生き様に影響してくるのか。そうしたことも含めて、楽しみに見たいものだ。

【あわせて読む】『舞いあがれ!』チーフプロデューサーに聞く、福原遥ヒロインオーディションの裏側

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