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UPDATE|2023/02/26

「どの面下げて…」 世間からの批判を覚悟した渡部建がそれでも本を出した理由

渡部建 撮影/松山勇樹



本人も認めるように、渡部のパブリックイメージは落ちたままなのかもしれない。自業自得とはいえ、本を出すことで再び過去をほじくり返され嘲笑される可能性もある。それでも出版に踏み切ったのはなぜか。

「世間の人たちも自粛期間に入ってから僕が何をやっているのかなんて知らなかったと思うんですよ。せいぜい『コミュニケーションに関する講演会? どうせ渡部のことだから女を騙すテクニックでも教えているんだろう』くらいの認識だったと思います。そういう意味では、はからずもこの本が今の僕の名刺代わりになっている部分はあるかもしれません。繰り返しになりますが、今回の出版に踏み切ったのは『これは世の中のためになる本だから』という力強い言葉のおかげです。今の僕は自分ができることをひとつずつ実直にこなしていくしかないんです」

書籍『超一流の会話力』を手に取るのは、会話力に自信がない人が多いはずだ。しかし渡部によると、「自分は口下手だ」「人見知りだ」と考えている人は登山でいうと8合目あたりまで来ている状態。そこで渡部のメソッドを身につければ、簡単に頂上まで着くらしい。それよりもむしろ問題なのは「私はしゃべりがうまい」「俺、面白いぜ」と考えているようなタイプで、本当はそういう人こそ、この本を繰り返し読むべきなのだという。

「でも、そういった自信家タイプは『こんな本、俺には関係ない』と思いがちなんですよね(苦笑)。『口下手な部下のために買ってやるか』とか考えているかもしれないけど、本当は『あなたこそ読む必要があるのに…』という話なんです。『あなたは自分が人気者だと考えているみたいだけど、意外にそうじゃない可能性が高いですよ』って丁寧に教えてあげたいくらいです(笑)」

もし会社にこうした勘違い社員がいたら、机の上にポンとさりげなく本を置いておくのも手かもしれない。

「芸能界にはトークの達人が大勢います。僕も以前はそういう人たちに囲まれていましたが、彼らはめちゃくちゃ簡単なメソッドを使っているんですよ。そのことは声を大にして言いたいんです。超一流の人たちがやっている超一流の会話力というのは、実は誰でも真似できます。才能もセンスも努力もスキルも一切必要ありません。そんな簡単なものなのだから、ぜひ全員で真似しましょうというのがこの本の趣旨です。読んだみなさんの生活が少しでも上向きになれば、僕もうれしいですね」

一度つまづいたことで、現在の渡部の言葉にはより深みが加わったような印象がある。今までありそうでなかった“聞く”ことに力点を置いたコミュニケーション指南書。会話に自信がない人もある人も一読してみてほしい。

【後編はこちら】会話術本を出版・渡部建に聞くトークのコツ「女性からの相談は感情に寄り添うだけでいい」
AUTHOR

小野田 衛


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