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UPDATE|2023/02/26

会話術本を出版・渡部建に聞くトークのコツ「女性からの相談は感情に寄り添うだけでいい」

渡部建 撮影/松山勇樹

アンジャッシュ・渡部建の著書『超一流の会話力』(きずな出版)が話題になっている。コミュニケーション術に的を絞ったビジネス書だが、会社員のみならず学生や主婦層からも好意的な声が寄せられているという。2020年の不倫スキャンダルにより芸能界での活動自粛を余儀なくされた渡部だが、その代わりに企業で講演会に呼ばれる機会が増加。そこでコミュニケーションに関する独自のメソッドを語ったところ、これが大きな評判を呼んだことで出版に至った。今回、出版に至った経緯や現在の思いを語ってもらった記事前編に続き、後編では具体的なケースを挙げながらコミュニケーション向上のテクニックを徹底指南。これを読めば、ワンランク上の会話術が掴めるはずだ。

【前編はこちら】「どの面下げて…」 世間からの批判を覚悟した渡部建がそれでも本を出した理由

【写真】『超一流の会話力』を出版した渡部建

【CASE 1 : 彼氏に何を相談しても、ひろゆきの真似をして論破してきます。正直ウザいのですが、どうすればいいでしょうか?(28歳・女性)】

渡部 これは質問者の女性がどうしてほしいかによっても違いますね。

──たとえば会話の中で上司の愚痴が出るとします。こっちは話を聞いてもらいたいだけなのに、「そんな会社は辞めちまえ」とか極論を言ってくるケース。

渡部 それは一番ダメなパターンです。男性がやりがちだし、特に頭が切れる人はなにかしら建設的なアドバイスを送ろうとします。それが余計なお世話だという話なんです。質問にあるような状況だったら、別に解決策なんて言わなくていいんですよ。「ああ、大変だったね」だけでOK。オウム返しで感情に寄り添うだけでいい。展開しちゃダメですね。サッカーでたとえるなら、来たボールをそのまま返すだけ。間違えてもゴールを決めようなんて考えたらいけません。「その会社と話し合う必要があるな」とか身を乗り出したら本当に最悪です。共感と同感の違いをはき違えてはいけませんから

──共感と同感とは?

渡部 「そっかー。わかるよ。大変だったね」というのが共感。相手の感情に寄り添ってあげるわけです。一方で「本当にクソだよな、その上司は」などと一緒に悪口を言うのは同感。自分が思ってもいない悪口を一緒に言う必要はないんです。だけど多くの男性は、一緒に上司の悪口を言わなくちゃいけないと考えるから苦しくなります。そこは相槌を打つだけでいい。余計なことは言わないほうがいいんです。

──それで結局、ウザい彼氏にそのことを理解させるには?

渡部 僕の『超一流の会話術』を差し出してください(笑)。というのは半分冗談ですけど、親しい人だったら口で言うしかないでしょうね。「違うのよ。別に私は解決してほしいわけじゃなくて、話を聞いてほしいだけなの」って。

──男性側からするとイライラしますけどね。「お前、解決したくないなら相談なんかするなよ!」って。

渡部 仕方ないんですよ、それは。男女では脳の作りが違うわけですから。なんだったら、違う動物だという認識でいたほうがいいんです。同じ仲間だと思うからイライラするわけで。「少しでも建設的で論理的な意見を」とか頑張るのは時間とエネルギーの無駄でしょう。解決どころか、むしろ問題を引き延ばしちゃっていることに気づいたほうがいいですね。

──生産性がないように感じても、とにかく寄り添うのが吉なわけですね。

渡部 はい。アドバイスしないって正直しんどいんです。僕も言いたくなりますから。でも彼女や奥さんに対して「徳を積む」イメージで接すると気が楽になりますよ。今後、相手になにかを頼むとき、有利に働くはずです。相槌を打ちながらポイントを貯めるイメージ……要はポイ活と同じです。

【CASE 2 : 上司とのコミュニケーションがうまくいきません。どう距離を詰めればいいのでしょうか?(32歳・男性)】

渡部 「上司が私の意見を聞いてくれません」とか「部下が自分の意見を聞かない」というのは非常に普遍的な悩み。これは要するに“信頼ポイント”が貯まっていない状態なんですよ。まずは相手に信用されないと前に進めないから、そこを解決すべきでしょうね。

──具体的な方法は?

渡部 あなたが上司で部下と距離を詰めたかったら、「こういうアプリ流行っているんだって?」とか「娘のプレゼントにこんなのはどうかな?」とか。相手にアドバイスを求めると、不思議なことに相手は答えているうちにだんだん好意的になってくるんですね。だから上司と距離を詰めたかったら、飲み会とかで隣の席に座って質問攻めにする。とにかくそうやって信頼ポイントを貯めていくんですよ。

──共通の趣味などが皆無な場合、会話の糸口が掴めないことも想定できます。

渡部 同じ会社だったら、仕事という共通の話題がいくらでもあるじゃないですか。部署が違って仕事がまるで被らないのだったら、「このへんでお薦めのランチありますか?」とか「父の日に喜ばれるプレゼントありますかね?」とかでOK。それで後日「おかげさまで父もプレゼントをすごく喜んでいました」とか報告したら、上司も一発であなたのことを好きになっちゃいますよ。

──相手の懐に飛び込んで、意見を引き出すという行為が大事なわけですね。

渡部 そうです。嫌な上司の機嫌を取るためにそうするのではなく、全部、自分が得するため。仕事を有利に進めるためだと考えれば、意外と苦じゃないものです。

AUTHOR

小野田 衛


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