FOLLOW US

UPDATE|2022/12/08

鳥人間コンテスト優勝者が語る『舞いあがれ!』人力飛行機サークルのリアル「まさにドラマの通り」

『舞いあがれ!』より(NHK提供)



東北大学Windnautsの1年間は、鳥人間コンテストが終わった直後、8月に始まる。8月・9月で次年度の機体の設計を固め、以降製作に取り架かる。機体が完成するのがだいたい翌年5月の半ば。それから試験飛行を繰り返し、7月の鳥人間コンテストの本番を迎える。

「割とカツカツのスケジュールなんです。春休みも返上ですし、秋から冬にかけては主翼の骨組みやコクピットのフレームに使っているカーボンの加工をするのですが、それは24時間連続の作業が必要。なので、ちょうどいまの時期は金曜日から日曜日にかけて、部員が交代でずっと作業をし続けています。授業が終わって遅くまで製作をして、家に帰ったら授業の課題をやって、また次の日も。週末には24時間体制で……。遊びに行く時間もないですね(笑)」

機体が完成してからも楽はできない。

「『舞いあがれ!』では明るい時間帯に試験飛行をしていましたが、カーボンは日差しに弱いので実際は日差しの弱い早朝に飛ばすんです。朝の4時くらいから飛ばすので、集合は日付が変わる0時頃。機体の組み立てに2,3時間かかって、1回の試験飛行でも10本くらい飛ばして……。朝8時くらいにようやく解散して、そのまま授業に出る。そういう生活ですね。だから、僕たちもけっこう命を削って機体を作っているんです(笑)」

超のつくストイックさが、バードマンの本懐というわけだ。そしてもちろん文字通り命を張ってフライトをするパイロットも楽ではない。ドラマの中では福原遥さんや吉谷彩子さんらが演じたパイロット。長時間ペダルをこぎ続ける体力に加え、部員たちからの期待を背負う重圧も描かれていた。

「まさにドラマの通りですよ。パイロット志望の部員は毎年だいたい数人入ってきます。で、2年の5月には3年の夏、最後のコンテストで飛ぶパイロットを部員間で決めるんです。パワーや体重といったデータ面ももちろん大事ですが、パイロットへの意気込みもそれぞれにプレゼンしてもらう。それでどの人に任せられるか、いちばん信頼できるかを決める。操縦を一歩間違えたら一瞬で機体は壊れてしまいますから。だから、あの人で飛ばせないならしょうがないよね、と思える人にパイロットを託すんです」

機体の設計は“パイロットファースト”。体重やパワーはもちろんのこと、肩幅などの体型やペダルを漕ぎやすい体勢、操縦桿を握ると肩が上がる、下がるなどの細かいクセに合わせて細かい調整を繰り返して設計していくのだとか。


RECOMMENDED おすすめの記事