──いまのキュウのスタイルは、どの段階で生まれたんですか?
ぴろ 最初からこのスタイルでした。大学の同級生と東京に出て漫才を始めた時から、いまのスタイルだったんです。
──初見だとわかりにくいスタイルだと思いますが、その怖さはなかったですか?
ぴろ お客さんに優しすぎるネタが好きじゃなかったので、伝わらなかったら伝わらないでいいや、という感覚でした。むしろ、まわりと同じようなネタをしても楽しくないと思っていたんです。
──キュウを結成して、年上の相方(清水誠)に「このスタイルでやりたい」と言ってスムーズに通ったんですか?
ぴろ 最初のコンビでソニーに入って。そこに清水さんが別のコンビでいたんです。同じファミレスでネタを書いたり、家に遊びに行ったこともあるので、清水さんは僕がやりたい笑いを知っていたし、僕も感性が合うと思っていたんです。で、お互いのコンビが解散して、組むとなったら「この人だな」とキュウを結成したんです。結成した時には、僕がやりたいことが相方のやりたいことになってました。
──清水さんのツッコミも独特です。
ぴろ ツッコミって訂正するじゃないですか。ボケてツッコんでボケてツッコんでの繰り返しだと、その漫才が行ける範囲が限られてしまうと思うんです。僕はお客さんをできるだけ遠くに連れて行きたいんです。ボケに間違ったツッコミをしたり、ボケがツッコミを違う捉え方をしたり、そうしたほうが遠くに行ける可能性があるし、行きついたことのない場所に辿り着いた時はワクワクするんです。
──遠くに行きたいから漫才を選んでいる、というのもありますか? セットや小道具を用意できるコントよりも、シンプルな漫才のほうが世界は広がるのかなと。
ぴろ コントを観るのは好きだけど、作る側としてはコントってはみ出し甲斐がないんです。漫才の「立ちしゃべりだけ」という縛りがあるほうが遠く行ける気がするんです。