たしかに昨年だったら連休と重なっていなかったので遠方のファンは足を運びにくかっただろうし、なによりもコロナ禍でイベントを開催できるかどうかすら怪しかった。それを考えると、この「めぐり合わせ」は奇跡的でもある。
田島芽瑠は今年の春にHKT48を卒業。朝長美桜は2020年1月にひと足早く、第二の人生を歩みはじめていた。
そう、ふたりとも現在の職業は「アイドル」ではない。
女優として着々と実績を積み重ねている田島芽瑠。
アクセサリーブランド『Amy』のプロデューサーとして奔走している朝長美桜。
10年前、同じステージでスタートを切ったふたりが、アイドルというフィールドを離れ、それぞれの道でしっかりと結果を残している。だからこそ、この日、胸を張って10周年イベントを開催することができた。
「あの人、いまはなにをしているんだろうね、という状態ではちょっとイベントはできなかったよね」(田島芽瑠)
「ちゃんとイベントの最後にいまやっているお仕事の告知をできるって幸せなことだと思う。ファンのみなさんはもちろん、後輩たちにも『こういう生き方もあるんだよ』ということを伝えることができればいいなって」(朝長美桜)
アイドルとは人生のゴールではない。
みんな、どこかで卒業し、次なる夢へと向かっていく。偶然にもこの日、同期の坂口理子がHKT48からの卒業を発表。10年前、21人でお披露目をした2期生だが、これでHKT48に残っているメンバーは渕上舞と秋吉優花のたったふたりだけとなってしまった。
もっとも10年経っても、まだ複数のメンバーが残っているというのはアイドルグループとしては特筆すべきことである。それだけアイドルの「旬」は短いのだ。
二公演が開催された10周年記念イベントはその趣がまったく違う内容となっていた。
第一部のメインは「年表トーク」。お披露目からの10年間の年表を画面に映し出し、それをみながらふたりが思い出トークに花を咲かせる。最初の3、4年間はトピックスも豊富で、関連する写真や映像も山盛り状態。どう考えても時間が足りない、と思って見ていたら、徐々に見出しになるようなニュースが減っていき、朝長美桜がHKT48を卒業した2年前の時点で「めるみお」としての歴史は終了、ということで年表もここでストップしていた。