FOLLOW US

UPDATE|2022/09/16

作家・爪切男×漫画家・鳥飼茜が互いの作品に感想を言わない理由「価値観と相反することも」

鳥飼茜 爪切男 撮影/Yukki



──『きょうも延長ナリ』は、爪さんの実体験がベースとなっていますが、『ロマンス暴風域』は取材が大変だったのではないでしょうか。

鳥飼 女の人には一切取材をしていないんです。それはなぜかというと、風俗の仕事をしている人って、容易には全部は見せてはくれないと思っていて。絶対崩せないプライドがある仕事だと思うし、代弁を許さない壁がある。どんな取材しても、わたしが身体を売らない限り、その人たちの気持ちにはなれない。だから取材はしない。出で立ちも雰囲気も全部、想像で作り上げました。

──どのヒロインもリアリティーが溢れていたので、風俗で働く女性にまったく取材をしていないというのは驚きです。ちなみに爪さんはどのヒロインがお好きでした?

爪 予備校の講師仲間の辻ちゃんですね。キャラクターというかシチュエーションですけど、これまで自分になんてまったく興味がないと思っていた女性が、「今のままだと不幸になるから彼女と別れろ」って言ってきて「彼女と別れて……俺はどうしたらいいわけ?」って返したら「わたしと付き合えばいいじゃん」って、それ、自分に自信がない男からしたら一番嬉しいし、萌えますよね。しかも肌を合わせているときにそんなん言われたらね。

鳥飼 『ロマンス暴風域』は、昔友達だった男の人の経験談をベースにして作っているんですけど、もちろんフィクションでいろいろ付け足していて。その一番フィクションのところです、そこ。

爪 俺はそこに救いを感じてしまった(笑)。でも、自分が何かに救われたと思えるのなら、それが嘘か真実かなんてそんなに重要じゃないかもしれないですね。(後編へつづく)

構成/大泉りか

【あわせて読む】作家・爪切男×漫画家・鳥飼茜が語る男女の友情「“わたしの味方”は期待しない“面白い話”ができるかどうか」

RECOMMENDED おすすめの記事