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UPDATE|2022/08/10

東大芸人・大島育宙が絶対M-1に出ない理由「ネタ至上主義と仕事の本質はつながらない」 

XXCLUB 大島育宙  撮影/松山勇樹



──最初の頃はコンビ・XXCLUBとしてライブにガンガン出ていたんですよね。

大島 めちゃくちゃ出てました。月に30本くらい。

──それが不毛だと思うようになったんですか?

大島 いや、不毛というわけではなくて、みんなほどライブに出ることが中毒的に好きなわけじゃないし、得意でもなくて、「学生お笑いの大会では優勝できたけど、ネタで一生食べていこうとしている人と競ってもリターンが少ないだろうな」という気持ちが大きくなり。それに、僕は精神力も弱いし、体力もなくて、2年目には膵臓を悪くしてしまった。1日の中で元気な時間に収録すれば“仕事していることになる”YouTube配信に力を入れて、ライブを減らしはじめました。デジタルトランスフォーメーションです(笑)。スマホやYouTubeがなかったら、いまでも舞台に月何本も出ていたかもしれません。意図的にやめたというより、いまやるべきことを優先していった時にネタの順番が後ろになった、というだけます。

──ここ何年かはネタ至上主義というか、まずネタで評価されてからバラエティ番組の椅子がもらえる傾向にあると思います。

大島 ネタを頑張ってテレビに出たい人は、ネタしかやりたくないからネタをやっているわけで、他に特技がある人はそれを活かせばいいと思います。いまも「この人、どんなネタをやっていたっけ?」という人も「お笑いタレント」としてたくさんテレビに出ているので。ネタ至上主義と仕事の本質は必ずしもイコールで繋がらないと思ってます。自分の場合はネタ以外の技能が先にお仕事として成立してしまったので、ネタに回す時間と気力がなくなっただけです。あと、芸人は年収200万以下か1000万以上、みたいな二極構造を当たり前に受け入れずぎで、「爆売れはしてないけど不自由なく食えてる」人がもっと増えるべきだと思います。

──大島さんは怪談の世界や放送作家の世界にも一度は足を踏み入れましたが、「ここも違うな」と思ったんでしょうか。

大島 怪談は新ネタを求められることが多くて、取材をする時間がないからお休み中です。ただ、ずっと大好きなジャンルなのでまた機を見て頑張りたいです。放送作家業の時は、陰で演者にリスペクトのないスタッフさんを見かけてショックを受けてしまい「ここじゃないな」と思って。もっと風通しのよくできる場所で頑張りたいと思いました。


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